森友学園をめぐる財務省の文書改ざん問題は、今日19日の参院予算委員会集中審議以降、新たな局面に突入する。財務省が改ざんを認めた後、初めてとなる野党VS安倍晋三首相の論戦。国土交通省から改ざん疑惑を伝えられた官邸の情報開示遅れ、首相の「関与あれば辞任」発言と改ざんの関係などが焦点だ。答弁内容次第で、首相や麻生太郎財務相の責任を問う声が高まる可能性もある。一方、共同通信の世論調査で、内閣支持率が38・7%と前回から9・4ポイント急落。首相の責任を指摘する回答は、66・1%に達した。

 首相は18日、恒例の防衛大学校卒業式に出席し、訓示した。集中審議前日だが、公務を予定通り行った。一方、盟友の麻生氏が参院予算委で森友問題で集中攻撃された16日、首相は公務をほとんど入れず、官邸にこもった。自身が直接野党に追及される19日に備えて、対応を練っていたのではないかと見る向きもある。

 19日の参院予算委は、財務省が今月12日に改ざんの事実を認めた後、初めて首相と民進党や共産党など野党が論戦する。双方の対決がなかった間に、改ざんの事実だけでなく、さまざまな課題が浮上している。

 1つは、安倍官邸の「情報隠し疑惑」だ。国交省が改ざん前文書の存在を、官邸に伝えたのは5日。首相や菅義偉官房長官には翌6日、「可能性」として伝えられた。首相が事実を把握したのは11日。官邸側は、検察からの文書入手など事実関係の確認が必要で、対応は問題ないとするが、野党は情報開示が後手に回ったとして、「空白の5日間」の背景をただす。

 また、首相が昨年2月17日、自身や昭恵夫人の関与があった場合は「総理も議員も辞める」と国会でたんかを切った直後の2月末に、財務省の改ざんが始まった点。「首相の答弁に慌て、夫人に関する記述などを削った。忖度(そんたく)の象徴」(野党議員)との指摘もあり、野党は首相の認識を注視している。

 首相は14日の参院予算委で、改ざん前文書で「いい土地ですから前に進めてください」と夫人が述べたとされる記述に関し「妻に確認し、そのような発言はしていない」と否定した。しかし、問題の経緯が解明される中で、夫人のキーウーマンぶりが浮上。野党は夫人の国会招致は不可欠としており、首相が夫人の関与をどう主張するかも焦点だ。

 森友学園問題は、夫人と学園の関係が1つの出発点。首相は、国民が納得できる説明をする責任がある。19日はその出発点だが、同時に、12年12月の第2次政権発足後、最大の正念場ともいえる。【中山知子】