「原発ゼロ」を訴えている小泉純一郎元首相(76)は23日、新潟県魚沼市で講演し、原発の再稼働を進めている政府の方針について「憤慨している」と述べ、対応を批判した。

 「安全、コストが安い、クリーンエネルギーという原発の3大スローガンは、完全にウソだと分かった。ウソだと思っているから、直ちに(原発の稼働を)やめさせないとだめだ」と強い調子で訴え、「原発の無謀さ、恐ろしさが分かれば、必ず近い日にゼロになる」と主張した。

 その上で、「1日も早く、自然エネルギーで経済を発展させる政策に、かじを切るべきだ」と述べ、自然エネルギーを多用したエネルギー政策への転換も訴えた。

 小泉氏はまた、「東京電力福島第一原発の事故が起きた2011年3月11日から7年たっても、事態は収束していない」と指摘。「原発ほどカネがかかる、危険な産業はない。(小泉政権時代に推進したことが)悔しい。悔しいが、過ちを改めるのが自分の責任だと思って活動している」と、首相時代の対応を悔いた。「かつて、原発に反対と言っていたのは革新や左翼(勢力)だったが、私は自民党総裁も務めた保守だ。原発をやめさせようと言うのに、保守も革新もない」とも、訴えた。

 講演には、約1200人が集まった。かつて自民党に所属し、現在は「無所属の会」に所属する中村喜四郎衆院議員の姿もあった。