アメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が関学大の選手に悪質タックルをした問題は、その後の日大の目も当てられない対応も加わり、社会問題に発展した。罪を認め、見る側を納得させる誠実な態度だった学生と、学生の主張を否定し、責任を負う気配をみじんも感じさせず、見る側に怒りを与えた大学。最近の永田町で見慣れた景色が大学スポーツの場にも波及、「日本社会が『安倍化』している」(枝野幸男立憲民主党代表)との声も漏れた、5月の言葉から-。
デスクA 悪質タックル問題は、もう社会問題だ。危機管理のプロが「やってはいけない記者会見の手本」というほど、日大の対応はひどかった。危機管理学部が売りの大学とは思えない。学生がかわいそうだ。
記者A 加害側の選手が悪質なタックルをした事実は消えないが、選手の会見は誠実な対応で、話の中身にも納得できた。対照的に、監督とコーチの会見は、弱い立場に置かれた学生を守る意思が感じられず、火に油を注いだだけだ。
記者B けんか腰で質問を遮り、この期に及んで「(日大のブランドは)落ちない」と言って炎上したのは、司会の広報担当。「あの大学にして、あの広報」と言われかねない。
記者C 23日の内田正人前監督と井上奨前コーチの会見を取材しましたが、最大限譲歩して、広報担当の怒りは理解できなくもない。質問のマイクを勝手に回すなど、ルールを守らないメディアがいたのは事実です。
記者D それでも、ぶち切れずに最後まで会見を仕切る忍耐力は必要。広報は、企業や大学の「顔」。自分の対応が大学の評価につながるのだから…。
記者A 部下に責任を押しつけ、「記憶にない」と逃げる。国会のモリカケ問題取材現場が、よみがえる瞬間でした(笑い)。
記者C 政治家は想定問答持参の会見は批判されるが、日大には必要でした。大学広報の電話は通じず、会見は必然でしたが、準備不足の見切り発車でした。
デスクB 落としどころはどこになるかな。
記者D 内田前監督の対応がもたらした負のイメージは大きい。カネと人事を握る常務理事を辞めるしか、世間は納得しないところまで来たような気がする。
デスクB 新潟市の大桃珠生(たまき)さん殺害事件にも、怒りを覚えた。
記者E 現場を取材すると、容疑者は普通の青年と聞いた。インターネットでは犯人に関する多くの情報や、目撃情報が流れ、振り回された側面もあった。
記者D 「車がぶつかり、パニックになった」との供述情報がありますが、普通、110番ですよ。被害者はまだ小2の女児。首を絞め、遺体を証拠隠滅のために線路の上に置いたなんて、理解できない。ご家族は、我々が想像できない思いでいると思う。
デスクA 政治関連では、森友学園をめぐる財務省のなかったはずの文書が膨大に提出され、加計学園の獣医学部新設計画では、安倍晋三首相の答弁を根底からくつがえす記述がある「新・愛媛文書」が公表。モリカケ問題が大きく動いた。
記者B 元国会議員の中村知事は「県職員は子どもの使いで行っているわけではない」と、職員との面会を否定した柳瀬唯夫元首相秘書官に、名刺公開で対抗しました。
記者E 知事として、職員を守る姿勢。日大も見習ってほしいです。
記者A 今月は麻生太郎財務相の失言もひどかった。金正恩・朝鮮労働党委員長の専用機「エア・フォース・ウン」にまでけちをつけ「シンガポールまで無事に飛んでくれることを期待する。途中で落っこっちゃったら話にならん」と大放言。米朝首脳会談は、トランプ大統領が中止発表の翌日に開催の可能性に言及。直前まで予測不能です。
<社会>
▼大桃珠生(たまき)さんが通っていた幼稚園の神保フユ子園長(71)
「賢くてしっかり者で、知らない人についていくような子じゃない。こんな目に遭うなんて信じられない」
8日 大桃さんの遺体が発見されたことを受けて
▼財務省でセクハラ研修を担当の菅谷貴子弁護士
「セクハラに関する財務省の感覚、常識と世の中の常識が非常にずれている」
9日 初の幹部職員対象のセクハラ防止研修で
▼岸井成格さん
「たるんじゃったな、みんな」
15日 政権にモノを言い続けた政治ジャーナリストが、肺腺がんで死去。盟友の関口宏が「最後に聞いた彼の言葉だった」と、TBSの取材で語る
▼稲田府見洋容疑者(22)
「自分が死ねなくて、むかついて殺した」
17日 名古屋市のネットカフェで、男性を刺殺。男性の妻は妊娠7カ月で、「重い罰を与えてほしい」
▼東京都の小池百合子知事(65)
「元関学生として、本当に残念。憤っています」
18日 定例会見で、日大の悪質タックル問題に言及。エジプト留学の前に、一時関学大に在籍していた
▼藤井聡太・新七段(15)
「ここまで速いペースで昇段できるとは、思ってなかったですけど」
同日 史上最年少、ひふみんも羽生竜王もできなかった、15歳9カ月での七段昇段。段位で弟子に追いつかれた師匠の杉本昌隆七段は「師匠として大きな喜び。複雑な気持ちなどみじんもありません」と大人の発言
▼東京都狛江市の女性職員
「今までは沈黙していたが、もう我慢できない」
22日 高橋都彦市長にセクハラ被害を受けた女性職員4人が、実名を出して公の場での謝罪を要求。辞職に応じなかった市長を、辞職表明に追い込んだ
<国際>
▼スウェーデン・アカデミーの担当者
「アカデミーへの信頼が失墜した」
4日 アカデミー会員関係者のレイプ疑惑で、今年のノーベル文学賞見送りを発表。ハルキストは複雑
▼英ヘンリー王子(33)
「驚くほどきれいだよ」
19日 女優出身のメーガン妃との結婚式で、ウエディングドレス姿に第一声
▼トランプ米大統領(71)
「長く計画を重ねてきたこの会談を、現時点で実施するのは不適切と感じる」
24日 来月12日のシンガポールでの米朝首脳会談の中止を、電撃発表。金正恩・朝鮮労働党委員長の敵対心が原因と主張
▼北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)第1外務次官
「いつでもどのような方式でも、向かい合って問題を解決する用意がある」
25日 トランプ氏の一方的な会談中止通告を受け、過激な反応はせずに対話継続を要望
<政治>
▼大塚耕平・国民民主党共同代表(58)
「国民民主党は総画数33。字画的には完璧だそうだ」
7日 民進党、旧希望の党による新党設立大会で。でも世論調査の支持率は1%
▼自民党の加藤寛治衆院議員(72)
「結婚しなければ、子どもが生まれない。人さまの子どもの税金で、老人ホームに行くことになる」
10日 自民党「魔の3回生」がセクハラ失言。結婚披露宴の「定番スピーチ」らしいが、撤回、謝罪
▼麻生太郎財務相(77)
「暗いやつを選ぶか、あまり頭の良くないやつを選ぶか。だったら、おなかの悪いのがいちばんいい」
16日 12年の自民党総裁選についても言いたい放題。石破茂、石原伸晃両氏と、安倍晋三首相の評論らしい
▼財務省の富山一成理財局次長
「昨年2月下旬以降、国会答弁との関係で、当時保管されていた交渉記録の廃棄を進めていた」
23日 「ない」としながら、森友学園問題に関する交渉記録や文書約9000ページを、財務省が公開。佐川前国税庁長官の国会答弁とのつじつま合わせが目的だった。文書には、安倍昭恵首相夫人を指す記載が10カ所以上。「忖度(そんたく)」が随所ににじんだ
▼安倍晋三首相(63)
「相手が複数なら『友人ら』ということ。『ら』に含まれていることもある」
同日 衆院厚生労働委員会で、12年12月の第2次政権発足以降、加計学園の加計孝太郎理事長と計19回、面会していたことを明かした。「首相動静」で確認できる14回と、登場しないところで5回。異例の蜜月ぶり
▼自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(37)
「衆院厚労委員会で議論されたのは、加計学園の問題。委員会名を黒塗りにして放送したら、厚労委と思う人はいないだろう」
同日 国会改革を考える若手の勉強会で野党の国会戦術を批判