ソフトバンクが日本シリーズを制した時、2年前の宮崎を思い出した。

 日本一になった直後に、工藤監督は秋季キャンプに合流。

 若手投手に体幹トレーニングを伝授。地味だが、かなりキツいメニューを3時間以上もかけて消化していた。室内練習場を出た時の暗闇が記憶に残っている。ここから東浜や千賀らが大きく育っていった。

 球界全体に「育成時代」が到来したことを感じる。DeNAは宮崎が首位打者を獲得するなど筒香以外にも野手が育っている。広島は言うまでもない。FAなどで補強した選手が新天地でどんな活躍を見せるかもワクワクするが、やはり新顔がスターへと成長していく姿を見るのは楽しい。高知・安芸で秋季キャンプ中の阪神は猛練習が当たり前になった。早朝から若虎が全力でバットを振り、日が暮れるまで特打や特守で汗まみれになる。3年目を迎える金本阪神では、若手が格段に練習量をこなせるようになった。

 「自前でチームを作っていくのが、就任した時の目標」と金本監督は言う。今季は伸び悩んだ若手も多かったが、その信念にブレはない。チームは確実に前進している。1年後には、虎党の歓喜の中で、安芸の練習風景を思い出すのだろうか。【阪神担当=田口真一郎】