スパルタ教育が、変幻自在のコントロールを生んだ。ヤクルトの新外国人ジョシュ・ルーキ投手(31=メキシカンリーグ)が17日、キャンプ初の打撃投手に登板。対戦した森岡が「(ソフトバンクの)サファテみたい。球は速いし、見逃したスライダーは見極めたのではなく、手が出なかった」と言うように、狙い通りにコースにちりばめた。ウイニングショットのフォークで空振りを取るだけでなく、最速148キロの直球もコーナーを突いた。

 米国版「巨人の星」が原点となっている。ルーキは「今でも覚えている。小、中学校の時。家に帰ると段ボールで練習が始まるんだ。的当てみたいに父さんが指定したコースに投げる練習を毎日していた。友達とキャッチボールをして遊んでいても、父さんが帰ってくるとその練習が始まるんだ」と明かした。

 星一徹ならぬ父ビルさん(65)は、20歳のころに米大リーグのホワイトソックスのトライアウトを受験したが、肘の故障などでプロの世界を断念。自身の未練を息子に託すように、漫画の世界を描いた。ルーキも「結局は自転車に乗ることと同じ。慣れだよ」と弱音を吐くことなく、「飛雄馬・ルーキ」として鍛錬を積んだ。

 26球中、安打性の当たりは4本。「スライダーはまだ良くないけど、フォークは良かった。もっと状態を上げていきたい」とさらなる高みを目指す。23日の韓国・ネクセンとの練習試合(浦添)で実戦デビューする。父と2人で目指したプロ野球の世界。日本での成功をリアルに体現する。【栗田尚樹】

 ◆ジョシュ・ルーキ 1984年12月5日、米ケンタッキー州出身。07年ドラフトでレンジャーズに入団。10年にトレードでマリナーズに移籍。主に中継ぎとしてメジャー通算72試合に登板した。昨季はメキシカンリーグでプレー。最速160キロの直球と落差のあるフォークが武器。沖縄そばが好物。193センチ、111キロ。右投げ右打ち。