Aクラス入りが見えてきた! ヤクルト小川泰弘投手(26)が今季初完封で巨人打線を封じ込め、3位DeNAに1・5ゲーム差と肉薄。自身初の3試合連続完投で、8月は5戦負けなしの4連勝をマークした。打線も西浦直亨内野手(25)が本盗を成功させるなど、一丸となって援護。2年連続のCS進出を射程圏内にとらえた。

 自身初の3試合連続完投で8勝目を挙げたヤクルト小川は「マグレ、マグレ」とおどけてバスに乗り込んだ。最後に巨人堂上を二ゴロに仕留めた時もポーカーフェースはそのまま。だがその下で「長いイニングを投げることを、ずっとテーマにやってきた」。1人で投げきることに人一倍、強いこだわりを持っていた。

 9回をセーフティーリードとも言える4点差で迎えた。「いきます」と志願した。スタミナを持たせる、自信をつけてきた。「遅いボールを投げるとか、アップで疲れないように仕上げるとか」。工夫で成果を出した。終盤まで直球が走り、被安打5で今季初完封までついてきた。

 8月に入って調子を上げた。4月に3勝を挙げた後、腰痛もあり5月0勝、6月1勝、7月0勝。悩んだ。「自分には覇気、打者を圧倒するオーラがない」。勝ちきれない時、浮かんだのは楽天との交流戦。気迫を前面に出す則本だった。同い年のライバルに刺激を受け、シンプルに、目の前の打者に集中する姿勢を追い求めた。1点リードの3回1死一、二塁。流れを変えかねないピンチで坂本を145キロで空振り三振に切った。珍しく、ほえてガッツポーズが飛び出した。

 リーグ最下位でスタートした8月。93年から全8戦負けなしの吉兆の地、富山で、チームは3位DeNAに1・5ゲーム差にまで迫った。真中監督は「先発が崩れる試合が多かった中で本当に頼もしい。うちは下なんで、勝っていくしかない」と言った。優勝争いをした昨季とは少し趣が違うが、「夏男・小川」が、3位争いを熱くさせた。【鎌田良美】

 ▼小川が今季初完封。8月17日DeNA戦から3試合連続完投勝利を挙げた。3試合連続完投は15年岸(西武=3連敗)以来だが、3試合連続完投勝利は13年田中(楽天=4試合連続)以来3年ぶり。小川自身は、13年の2試合連続を更新する自己最長記録。ヤクルトでは、12年7月27日完投→8月2日完封→同9日完封のロマン以来4年ぶり。