阪神金本知憲監督(49)が、日本ハムのドラフト1位清宮幸太郎内野手(18=早実)の怪物ボディーにうなった。18日、練習試合の日本ハム戦が行われたかりゆしホテルズボールパーク宜野座で対面。筋肉への眼力は人一倍の鉄人監督は、その肉体に触れて感心、「いい筋肉。厚みもあるしバネもある」と絶賛した。クジが外れて逃した恋人だが、「プロ野球界にとっても楽しみ」と将来の大活躍を願ってエールを送った。

 宜野座の昼間、日本ハムの選手バスが到着し、球場内に入った清宮が真っ先に向かったのは、阪神金本監督のもとだった。運命を分けた昨年10月26日。ドラフト会議で1位指名されたお礼のあいさつだ。目の前にやってきた怪物スラッガー。現役時代に通算476本塁打を放った金本監督は、思わずボディーチェックした。

 「体を触ったけど、いい筋肉をしていたよ。厚みもあるし、バネもある」

 グラウンドでの動きは制限されても、素材の高さは隠せない。清宮は1月に右手親指を負傷した影響で、持ち味の打撃は軽い練習にとどまっている。この日も宜野座でフリー打撃を行う日本ハム本隊に姿はなし。8回裏から一塁守備に就いたが、プレー機会はなかった。それでも、鉄人と対面を果たし、見初められた。「楽しみな選手。プロ野球界にとっても。楽しみです、本当に」。将来の活躍を願ってエールを送った。

 阪神にとって、かつての「恋人」だった。昨年は、甲子園のスター清宮の指名を早々と決定。金本監督も魅力について「(本塁打の)数字そのものです。百何本打っていて、体も強そうだし、柔らかさもある。とらえる技術もある」と絶賛した。昨年は先発補強が最優先事項だったが、電鉄本社、球団挙げてラブコールを送るほど恋い焦がれた。

 清宮も、大阪出身でラグビー、トップリーグのヤマハ発動機監督の父克幸氏の影響で阪神ファン。「小学生の頃は、金本さんの(打撃フォームの)まねをしていました」と話すなど「鉄人金本」は憧れの存在だった。金本監督自身が引いたドラフトのくじは惜しくも外れ、運命の糸は結ばれなかったが、この日、あらためてほれ直した格好だ。

 球場からの引き揚げ際、清宮の「憧れだった」と伝えられると、金本監督は「そんなことはないよ」と照れ笑い。1492試合連続フルイニング出場の世界記録を樹立した大砲から、未来のスーパースターへ。大打者の系譜は受け継がれた。【酒井俊作】