<阪神7-1日本ハム>◇26日◇甲子園

 球界の名勝負になっていくであろうライバル対決が、聖地・甲子園で幕を開けた。日本ハム大谷翔平投手(18)と阪神藤浪晋太郎投手(19)がプロ初対戦。昨春のセンバツ以来の対決は、大谷が2本の二塁打を放つなど3打数2安打で個人対決では勝った。だが、故障からの復帰登板の藤浪は7回6安打1失点で約1カ月ぶりの4勝目を挙げた。今季最多の4万6512人の観衆を集めた甲子園は2人の対決に沸いた。

 チームの勝敗とは次元の違う興奮が、そこにはあった。2人の真剣勝負に満員の観衆が魅了された。大谷は、ライバルが自信を持って投じた直球に狙いを絞り、打った。2本の二塁打で3打数2安打。「18歳の同じ学年で、そういう意味では楽しみでした。今日は直球を打ったけど、次は変化球でくると思う。そのときにも打てるようにしたい」。余韻に浸らず、次回対戦を見据えた。

 野手としては14日の中日戦以来の出場。初めて起用された中軸の5番で直球待ちの姿勢を貫いた。4回、2ボールから、146キロ外角直球を左前に運んだ。「捉えたつもりだったけど、シュートして先っぽに当たった」。スピンがかかった打球が左翼マートンの前を転がる。5点を追う展開で「流れが悪かったので」。ムードを変えようと果敢に走り、二塁を陥れた。

 6回には「もうちょっと弾道が上がってくれれば。ちょっと打ち損じた」という打球が右中間を破る二塁打となった。右翼守備では強肩を披露した。だが、チームは大敗。本塁打を放ちながら敗れた昨春のセンバツと似ていた。「個人的には2本打ったけど、勝たないと意味がない」。栗山監督も「もうちょっと緊張した形で勝負させてあげたかった」と悔しがった。

 藤浪を最初に意識したのは、高校1年のとき。「2年後のドラフトで6~8球団くらいの指名を受ける。それが目標」。当時のチームメートに宣言し、「そのために藤浪に勝たないと」。すでに全国区になりつつあった右腕をライバルに挙げた。モチベーションを高めるため、藤浪が掲載された雑誌を切り抜いたこともある。「ファイルに入れて持ち歩いている」というウワサには「そこまではしてなかったですよ」と苦笑い。寮の自室に張っていた。

 グラウンド上ではライバルでも、ドラフト同期のよき仲間でもある。球団関係者との会話で、7月に行われるオールスターの話になると「藤浪は出ますよね」と話した。その活躍は逐一チェックし、発奮材料にしている。

 今回はヤクルト戦でのプロ初登板から“中2日”で野手として対決したが、投手として投げ合いの可能性もある。「(投打)どちらでも、勝つことが大事」。今後も続くであろう2人の名勝負。そのたびに球界の歴史に新たな1ページが刻まれていく。【本間翼】

 ◆大谷対藤浪VTR

 昨年センバツ初日に対戦。花巻東の4番大谷は2回、大阪桐蔭・藤浪から右翼へ先制本塁打。両者の対戦成績は3打数1安打1打点(右本、四球、三直、遊飛)。試合は大阪桐蔭が9-2で勝ち、投球内容は藤浪が9回完投、12奪三振。大谷は8回2/3まで173球を投げ、11奪三振、9失点(自責点5)。