日本スーパーフライ級王者の高山涼深(27=ワタナベ)が2度目の防衛に成功した。同級1位の古谷昭男(26=六島)の挑戦を受け、3回1分31秒、TKO勝ちを収めた。1回から好戦的だった古谷に対し、冷静な試合運びで対応すると、3回に左ストレートから右フックをねじ込んでダウンを奪取。立ち上がって粘る古谷に向けて再び左ストレートから右フックで2度目のダウンを追加し、レフェリーストップによるTKO撃破につなげた。

セコンド入りした古口忠寛トレーナー(54)とKO防衛の喜びを分かち合った高山は「古谷選手は中間距離がうまく、勢いがあって頑張る選手としてすごくこわかった。でも小口トレーナーと練習していたことを出せて勝てました。良い面もありつつ、出だしから良くなかったので持ち帰って反省したい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

当初は昨年12月にV2戦が予定されたが、練習中に左中指骨を疲労骨折して中止に。約2カ月ほどジムワークを離れ、練習再開は年明けに入ってからだったという。減量開始も遅れ気味となり、試合前にはスランプ状態に陥るピンチを迎えた。小口トレーナーの勧めで、追い込みの時期に3日間の完全オフを設定。軽めのジョギングや入浴による汗出しのみで疲労回復に務めると試合当日にはキレのあるパンチが復活していた。

高山は「小口トレーナーの厳しい練習のおかげで自信を持って前に出られたと思う。ここで調整方法を考えて変えていかないと、これから上は本当に無理だと思う」と日本王者として練習方法を見直す意識を高めた。小口トレーナーは「涼深は馬力がある。武器のパンチ力に助けられた部分もある。アマ時代は練習の虫だったので、そういった原点を思い出してほしい」と高い要求を出した。

世界に2度挑戦した元日本スーパーフェザー級王者で元東洋太平洋2階級制覇王者の渡辺雄二氏のおいとなる高山は現在、同級の世界ランクでもWBCとIBFで13位に入る。所属ジムの渡辺均会長(74)は「何度か防衛を重ねていって、世界ランキングを上げていきたい。副業が好調で本人もうまく切り替えるのが大変だからね」と説明。所属ジム近くにある行列のできる人気ラーメン店「中華蕎麦 無冠」のオーナーを務めている高山の多忙さをおもんばかっていた。