札幌MF稲本潤一(37)が開幕戦を目指す。札幌は熊本での2次合宿2日目の10日、ポジションごとに分けた戦術練習や、11対11のミニゲームを行った。昨年6月の千葉戦で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し戦線離脱、長期にわたり別メニューで調整してきた稲本が完全合流した。25日の仙台とのJ1開幕戦出場を目標に、熊本の地で大きな1歩を踏み出した。

 全治8カ月の大ケガから復帰した37歳の大ベテランが、チームの空気を一気に変えた。熊本では珍しく雪が舞う中でのミニゲーム、稲本は激しくプレスに行くなど精力的に動き回った。ほかの選手には大きな声で指示を出し、離脱前と変わらない動きを見せた。「多少怖さはあるが、やっぱり久しぶりにみんなとやるサッカーは楽しい」。久々のチームメートとの交流を素直に喜んだ。

 プロ人生で最も長い離脱とリハビリの苦しさを味わった。昨年6月に右膝前十字靱帯再建術を受け、チームが上昇気流に乗る中、ひとりリハビリに取り組んだ。「長かったですけど、ケガをしたことに後悔はないし、逆にプラスに考えたい。これからの行動の方が重要」。J1昇格の瞬間をピッチの外から見た。「昨季はチームに貢献できなかった。これからは恩返しではないけど、チームのために全力でプレーしサポートしたい」と誓った。