春日部共栄9回2死から大逆転/高校野球
<高校野球埼玉大会:春日部共栄5−4埼玉栄>◇29日◇決勝◇県営大宮公園
春日部共栄が、9回2死からの逆転劇で埼玉栄を下し、8年ぶり4度目の出場を決めた。
「楽しんでこい」。3点を追う9回表2死満塁。長打なら一打同点のチャンスだが、凡打すればチームの夏が終わる。緊迫した場面で打席に入った4番・■岡(つるおか)賢二郎主将(3年)は、本多利治監督(47)に呼び戻され、そう言われた。そして、肩をポンとたたかれた。笑顔が、自然に浮かんだ。
ここまでずっと苦しめられた埼玉栄エース木村文和(2年)の必殺スライダーを無我夢中でとらえた。「抜けろ〜!」。走者一掃の右越え同点適時三塁打。試合は振り出しに戻った。球場が興奮状態で包まれる中、続く射手矢大輔内野手(3年)もひるむことなく同じスライダーを勝負し、決勝適時打を放った。
試合後、殊勲の同点打を放った■岡主将について、本多監督は「いちばん悔しい思いをしている男がやってくれた。頭が下がるよ」と話した。1年で唯一ベンチ入りした03年決勝(0−3聖望学園)、正捕手を獲得した同年秋関東大会と、あと1勝で甲子園を逃した。不動の正捕手となった昨夏も大会直前に部内で不祥事が起こり、参加はしたが力を出し切れず3回戦敗退。「一生懸命野球に取り組むことで認めてもらうしかなかった」と、つらい試練も味わった。
それでも笑みを絶やさなかった。4月から毎日練習後に行ったメンタルトレーニングも、功を奏した。あらゆる分野の成功例を読み各自の感想を書き、本多監督と対話することでプラス思考が根付いた。そして、勝負を決する極限状態の中、最後まで笑顔が絶えない「楽しむ」集団に変わり、最後の最後で花咲いた。
最後のバッターを空振り三振に仕留めたウイニングボールは、■岡主将ががっちりつかんだ。マウンドに駆け上がり歓喜の渦にのまれた。思いは、93年夏の全国準優勝チームを超え、埼玉初の全国制覇へと、飛んでいた。【狩俣裕三】
※■=あめかんむりに鶴
[2005/7/30/11:43 紙面から]
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