【WBC】中2日エース松坂68球の意地
<WBC1次リーグ:日本14−3台湾(7回コールド)>◇4日◇東京ドーム
68球に、松坂の気迫が乗り移った。WBC本番直前まで本調子でなかった松坂大輔投手(25=西武)が、1日の巨人との壮行試合から、中2日で台湾戦に先発した。投球動作中にボークをとられ失点するシーンもあったが、この日最速の149キロ速球などで、必死の台湾を4回1失点で抑えた。球数制限を超えた68球目に狙って三振を奪うなど、エースの意地が2次リーグへの道を引き寄せた。
68球目はこん身のストレートだった。4回裏2死二、三塁のピンチ。1次リーグの球数制限65球はすでに超えている。走者を出せばイニングの途中で投手交代をしなくてはならない。「最後は絶対に三振を取ってやろうと思った」。
気持ちも前面に押し出した。フルカウントから146キロのストレートで空振り三振に切って取る。「普段は内容を重視するし、勝って満足できないこともある。でもこの大会は違う。いいピッチングして負けるより、悪いピッチングでも勝つ方がいい」。4回3安打1失点。決して本調子ではない中、先発投手として「最低限の役割」を果たした。
国際大会にかける思いは誰よりも強い。初回、マウンドに立つと、胸に「JAPAN]と書かれたユニホームの右胸をギュッとつかんだ。今大会出場選手の中で、シドニー五輪予選と本戦、さらにアテネ五輪の予選、本戦とすべてを経験しているのは松坂だけだ。
2月25日の12球団選抜戦で4回途中4失点で降板すると、1日の巨人戦には志願の先発。この日の台湾戦には中2日で臨んだ。2試合とも内容には不満が残ったが「国際大会の独特の雰囲気が、僕をいい状態に持ってきてくれると思った」と不安はなかった。
巨人戦では140キロ台前半だった球速も、この試合では149キロまで伸びた。「自分の中では予想できたこと」。大舞台で力を発揮する性分であることは、誰よりも松坂自身が分かっている。
それでもまだ完全ではない。2回2死一、三塁のピンチでは、投球動作に入りながらストレートがすっぽ抜けて、球が内野を転々。ボークをとられて1点を献上した。「今まで野球をやっていて初めてのこと」と振り返る。日本のボールに比べて滑りやすい大リーグ公認球。ロージンの量などは、試合ごとに研究を重ねている。「投げる前に嫌な予感があったけど、緊迫した場面じゃなくて良かった」と前向きに受け止めた。
これで2次リーグ進出が決定し、今後はさらに強敵と対戦することになる。「僕にとっては先ができて良かった」。次は勝負の地アメリカで、いまだなし得ていない世界一をかけた戦いに臨む。【前田祐輔】
[2006/3/5/08:52 紙面から]
写真=2回裏台湾2死一、三塁、鄭昌明への投球がすっぽ抜けボークとされ1点を失う松坂
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