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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/10/26付紙面より 過去のコラム一覧へ

意義あった「中二階」

文化社会部 中山知子記者

 年末の風物詩に「流行語大賞」がある。今年は、北島康介選手の「チョー気持ちいい」をはじめ、きっとアテネ五輪のアスリートたちの名言が有力候補になるだろう。でも私が個人的に、なかなかのヒットだと思ったのは「中二階」だ。ちゅうにかい、と読む。

 広辞苑によると「普通の2階よりは低く、平屋よりはやや高く構えた二階」。もちろん、この訳通りのシチュエーションで使われたわけではない。小泉首相の「次」を狙う自民党有力者たちの微妙な立場を皮肉るように表現した言葉だ。有力者とは、平沼赳夫前経済産業相、古賀誠元幹事長、高村正彦元外相、麻生太郎総務相の4氏。自民党のベテラン議員だが、内閣の支持率がジリジリ減る中、本来なら「次」の顔として、もっと台頭してきてもいいのに、なかなか目立たない、目立てない、ツラい現実。頂上でも地下でも1階でも2階でない、中二階というあいまいな立場に、ぴたっとはまったからではないかと思う。

 小泉首相が使ったことで、一躍目立ったけれど、最初に言い出したのは実は自民党の若手議員、山本一太参院議員(46)だった。自民党の世代交代の旗振り役。以前から「政権与党にとどまるために、自民党を変えたい」と言い続けてきた。今回の「中二階」発言もその流れだ。

 6年前、初めて取材した。音楽を通じて政治を訴えたいと、地元の群馬県高崎市でライブを開くというので取材に出掛けた。自分で作る詞は、政界の環境を皮肉る刺激的な内容で「GOODBYE 長老支配」「派閥順送りはやめろ」といった感じ。国会議員らしくないシャウトにもびっくりした。

 この6年のうちに、自民党には「変人」小泉首相が登場し、昨年秋には、当時49歳の安倍晋三氏が党NO・2の幹事長に抜てきされた。しかし最近は選挙のたびに若手の多い民主党の猛追を受けている。

 きっと「自民党を変えたい」と活動してきた山本議員のしりにも、火がついた状態なんだろう。だから、またまた「中二階」という言葉を使って、党内を刺激したかったのではないだろうかと思った。

 山本議員に話を聞くと「上からは怒られているけど、有権者はその通りだって言ってくれる」と、批判などどこ吹く風だった。「中二階」発言後、メンバーの反応が変わってきたという。「最初は、中二階は吹っ飛ばして僕たちが上に行きたい、というのがあったけど、平沼さんが『そのうち上に行きたい』とおっしゃったり。負けてはいられないというムードが出てきた。かえっていい効果があったかもしれません」。

 山本氏は、小泉首相の任期が切れる2年後の総裁選に、中堅や若手を候補者にしたいと話していた。もちろん、一気に世代交代の夢がかなうとは思わない。でも何事も、続けなければ実現しない。今の政界を見ていると、だれが何をやるか、やってくれるのかという期待やら楽しみやらは、有権者にとってどれだけあるのだろうかと思う。だから山本氏が仕掛けた「挑発」は、少し痛快だったし、意義もあったと思う。

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   column@nikkansports.co.jp
中山知子(なかやま・ともこ)
 文化社会部。福岡市出身。青学大卒、91年入社。整理部から92年、文化社会部。主に政治を担当、日本新党から小泉内閣まで取材。00〜02年芸能担当。36歳。
中山記者の写真

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