【ヤマコウの時は来た!】

 今年の岸和田キングは12月。2年前の12月岸和田といえばグランプリが開催された。武田豊樹が優勝したが、村上義弘の、ライン先頭を任された走りはさすがだった。今回は太田竜馬がS級初登場。大物食いを期待したい。

 徳島勢からは原田研太朗や小倉竜二も追加参戦。練習での太田の強さは知っているだろうが、レースはまた別もの。地元解説の井上薫さんのような、練習の100倍力を発揮するような精力の強そうなタイプか、ブルペンエースタイプなのか、全国の競輪ファンは見ている。私も今回の徳島勢を期待を持って見たい。

 その中核となるのがオグリュウだ。競輪祭では1着がなかったが、直線の切れは戻ってきている。3場所前の防府G3、災害復興支援の1発レースでは、まくりも飛び出して高配当を演出した。

 そのレースも、中川誠一郎-柳詰正宏の3番手を回らず「勝っても負けても納得したいから自分でやる」とコメントした上でのまくり勝ち。専守防衛を掲げ「わしゃ自衛隊じゃから、(競りに)来られたら完璧に守るよ」とフレームまで迷彩色に。それが今、黄色と薄いブルーのポップな色彩にまでして変化を求めている。

 オグリュウと言えば、競輪界では義理堅い選手の代名詞だが、それを大事にした上で悔いのない走りを追求しているのだ。

 彼が番手に付くと、先頭を走る選手の戦法の幅が一気に広がる。仕事を確実にする上にギリギリまでかばうので、先頭の選手は思い切った戦法で挑めるのだ。「ハラケンの育て方は失敗したけん、その分太田はしっかり育てるわ」とジョークを交えて話すオグに期待したい。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)