過去のレース ~2002年~
野沢が豪快まくりでSG初戴冠!
野沢がSG初戴冠。第37回総理大臣杯の優勝戦は21日、平和島競艇場で行われた。超抜機で頂上決戦に挑んだ注目の野沢大二(29=東京)が、こん身のスタートを決め、豪快なまくり一撃で念願のSG初制覇を決めた。地元の期待にこたえ、優勝賞金4000万円を獲得。インから辛うじて残した今村暢孝が、2周2Mで滝沢芳行に競り勝ち2着。人気を分けた松井繁は4着に敗れた。
一世一代の走りが、夢にまで見た最高の舞台で結実した。栄光のゴールを駆け抜けた時、右手は自然に空を突き上げていた。期せずして沸き起こる「ノザワ、ノザワ」のコールが鳴りやまない。激しい波に揺られながら、野沢はヘルメットを外し、スタンドのファンに向かって何度も何度も頭を下げ、そして拳を振りかざした。「最高にうれしい。感無量です」。
数あるエース機の中でもたぐいまれな「オバケ」と呼ばれる36号機。枠はカドが取りやすい3号艇。加えて隅から隅まで知り尽くしている地元のプールと勝つ条件はそろっていた。この千載一遇のチャンスを絶対に逃すわけにはいかない。「優勝するのは自分しかいないって、心にずっと言い聞かせていました。絶対に優勝しようと思って行きました」。その決意が他を寄せつけない10のトップスタートを生んだ。「準優と同じタイミングで起こせたんで、絶対にスリットに入っていると思った」と確信を得て全速で踏み込んだ。もう後は、エンジンパワーに任せて1Mを回るだけだった。
怪物モーターを手にしたとはいえ、初日から決して順風満帆とはいかなかった。「出足はきていたが、伸びの方はきていなかったのでギアを詰めたりした。2日目にようやく自分のペラに合ったセッティングができたかなという感じだった」と振り返る。勝つ宿命の超抜エンジンからくるプレッシャーも計り知れない。「みんな気遣ってくれた。今は解放された安ど感でいっぱいです」。
そんな後輩を満面に笑みを浮かべて見守っていた男がいた。「長岡さんという存在がなければ優勝できたかどうか」と野沢が慕う長岡茂一だ。「よくやってくれた。僕はレースを見守っただけ。うれしいよ。僕が優勝したわけじゃないのにね。本当にうれしい。今夜は飲むぞ」と自分のことのように喜んだ。
晴れてSGレーサーの仲間入りを果たした野沢。今後はタイトル保持者として新たな戦いが始まる。「走っている以上は最終的に暮れの賞金王が目標ですが、まず目の前のレースを、全力で同じ気持ちで一生懸命走りたい」。その顔は春風のようにさわやかだった。 【深沢一千代】