<高校サッカー:桐光学園3-0佐賀商>◇3日◇3回戦◇ニッパ球

 “俊輔イズム”を継承するエースが決めた。桐光学園(神奈川)が佐賀商(佐賀)に完勝した。後半25分、同校OBの元日本代表MF中村俊輔(34=J1横浜)が見守る前で、背番号10を受け継いだMF松井修平(3年)が今大会初ゴール。中村を擁して準優勝した96年度大会以来となる8強進出へ貢献した。

 桐光学園の背番号10を受け継いだ松井がダメ押しゴールを決めた。後半25分、MF橋本の右クロスを中央でFW野路がシュート。GKがはじいて目の前に転がってきた絶好球を、冷静に右足で押し込んだ。「ごっちゃんゴールですけど、欲しい時間に点が取れてよかった」。16年前に同じナンバーを背負って準優勝した中村の前で、今年の10番もきっちりと役割を果たした。

 試合前の激励も力に変えた。1日に続き、開始直前にロッカールームを訪問した中村から「短期決戦の中で(四日市中央工との)注目カードに勝ったんだから、波に乗っかってほしい」と注文を受けた。故松田直樹さん(元日本代表DF)をしのぶ催しのため、前日2日の初戦には姿を見せなかったが、結果は気にかけてくれていた。普段から、キックの精度やサイドチェンジのタイミングなど中村を手本にしてきた松井。「今日は勝ててよかった」と胸をなで下ろしていた。

 偉大な先輩のお墨付きをもらい、頂点を目指す。試合を観戦した中村は「6番(多田)とか10番(松井)がいいね。後半も形を作っていた。自分たちの準優勝を超えてほしい」と話した。松井も「自分たちの目標は優勝。中村俊輔選手を変に意識しすぎず、自分のプレーを出して攻撃につなげたい。足をすくわれないように、1戦1戦大切に戦いたい」とあくまで自然体で“俊輔超え”に挑戦する。まずは国立。あと1つ勝てば、サックスブルーの10番が16年ぶりに聖地に帰ってくる。【湯浅知彦】

 ◆松井修平(まつい・しゅうへい)1994年(平6)7月8日、横浜市出身。小学時代は「さぎぬまFC」でプレー。川崎U-15を経て、桐光学園進学。12年高校総体で8強入り。好きな選手は川崎Fの中村憲剛。家族は両親と兄2人。昨夏の甲子園で1試合22奪三振の新記録を樹立した同校の松井裕樹投手(2年)との血縁関係はない。171センチ、62キロ。血液型O。