【ドーハ(カタール)=24日】日本代表MF本田圭佑(24=CSKAモスクワ)が真骨頂の強引な突破でアジアのライバル韓国を打ち破り、ザックジャパンを決勝へと導く。日本は今日25日、準決勝で韓国と対戦する。前日を完全休養日とした日本代表は、この日は試合会場ではなく、アルアハリ競技場で公式練習を2時間以上も実施。本田圭はこれまで守備的な相手との連戦では強引な突破を控えたが、積極的にボールを奪いにくる韓国相手なら持ち味を「解禁」する絶好機。昨年10月の日韓戦でも力強いドリブル突破で圧倒的な存在感を示した男が、05年8月7日以来、5年5カ月ぶりの宿敵撃破を目指す。

 照りつける中東の夕日を浴びながら、パス回しに加わった本田圭の表情に笑みがこぼれた。1日の完全休養を経たこの日の前日練習。心身ともに決戦への準備は整った。リラックスしながらも、ほどよい緊張感が、「金髪の異端児」の背中から漂っていた。

 ついに真骨頂を発揮する時がきた。22日の練習後。まだ準決勝の相手は決まっていない状況ながら、本田圭は「これまでの相手はディフェンスがボールを取りにこなかった。取りにくれば強引に行く場面があってよかったし、強引にいきやすい」と断言していた。

 激しくボールを奪いにくる韓国の守備に対し、厳しい競り合いの中で自身の強引な突破が生きる確信があるからこその言葉だ。「相手によって、おれのプレーも変わってくる」。昨年10月12日、敵地での日韓戦では相手の激しい守備をなぎ倒し、突進する本田圭の姿があった。当たりの強さでは韓国優勢という既成概念を覆す力強さで、韓国ゴールを何度も脅かした。

 実はこの一戦で、日本、そして自分に対しての課題が見えていた。近い関係者に「(韓国に)個で勝てていない。韓国は朴主永(今大会は欠場)とか、個人で突破できる選手が多くいる。個の力でアジアを勝ち抜けないと、世界で戦えない」とこぼしていた。

 あれから3カ月。今回の対決は「個で局面を打開できるか」の真価が問われる舞台だ。大会前にアジア杯の価値を軽んずる周囲の声も耳に入ったが、同関係者によると「日本はオーストラリアにも勝てていない。大会が始まれば盛り上がるんだから」と大会の重要性を説いたという。それだけの覚悟を固めている。

 「目指すのは優勝だけ」。大会開幕前から繰り返し話してきた。その目標の前に立ちふさがる最大の壁韓国を、自らの強引な突破で乗り越え、日本に約5年5カ月、6戦ぶりの白星をもたらしてみせる。【菅家大輔】