U-23(23歳以下)日本代表のFW鈴木武蔵(22=新潟)が崖っぷちからはい上がる。29日のU-23南アフリカ戦に向けた27日の長野・松本合宿で約1時間半、シュート練習などで調整した。左大腿(だいたい)四頭筋肉離れの影響で、1月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選以来の招集。「最後のチャンス。やるしかない」と決意をみなぎらせた。

 立場は厳しい。7月1日のリオ五輪代表18人のうちFW枠は最大4。オーバーエージ枠には興梠(浦和)が選出され、浅野(広島)久保(ヤングボーイズ)も決定的で、残りは1枠とみられる狭き門だ。生き残りはU-23南アフリカ戦での活躍次第。状態は「70~80%」と万全ではないが、手倉森監督から最後のアピールの場をもらった。「感謝してる。チャンスをもらったからには結果で応えたい。厳しいけど、ひたすら自分の良さを出していきたい」とゴールを狙う。

 同じジャマイカ人の父を持つ陸上のケンブリッジ飛鳥がリオ五輪代表を決めた。鈴木自身は会ったこともないが「親同士は知ってるみたい」。競技が違うため「気にして見ているわけではないですけど、同じハーフなんだなと思う」。手倉森ジャパンでは2番目の13得点をマーク。この世代をけん引してきた男が、もう1度輝きを取り戻す。【上田悠太】