またも負傷者だ。日本協会は25日、W杯アジア最終予選タイ戦(28日、埼玉)に臨む日本代表からMF今野泰幸(34=G大阪)ら3選手が離脱すると発表した。今野は自らの得点で勝利に貢献したUAE戦で負傷し、左足小指骨折と診断された。MF長谷部の代役として突如現れた救世主が同じく故障で離脱。ボランチの主軸を失った。左脚負傷のFW大迫と右足親指骨折のMF高萩も離脱し、川崎フロンターレのFW小林と浦和レッズMF遠藤が追加招集された。この日はさいたま市内で練習を行った。

 練習前の円陣が解けると、MF今野はうつむいたまま控室へ引き揚げた。G大阪で同僚のMF倉田から両肩をたたかれ、少しほほ笑んだ。2年ぶりに代表復帰したUAE戦で勝利を決定付ける2点目を挙げたヒーローは、この試合で負傷。アウェーで得た勝ち点3の代償は大きかった。無念の離脱に「サッカー選手としてケガをするのは悲しいことだし残念」とつぶやいた。

 前日24日、敵地から帰国後に千葉県内の病院に直行。左足小指付け根の骨折が判明した。「折れていないと信じていた」が、事実は残酷だった。これにより、ボランチは主将の長谷部に続き今野、高萩が離脱という非常事態を迎えた。残ったのは山口と倉田、追加招集された遠藤。その中でも所属クラブで唯一、同位置を務めている山口は「いる選手で頑張るしかない」。今野は「ホームで難しい試合になるので勝って欲しい」と願うしかなかった。

 ただ、今野自身はUAE戦で分かったこともあった。「生半可な気持ちで来ちゃダメ。相当な覚悟を持って来ないといけない場所だと再確認できた」。攻守両面での貢献をハリルホジッチ監督に認められ、「早く治して復帰して」と背中を押された。「1歩1歩。まずはケガを治すことから」と話し、6月のイラク戦(アウェー)での再招集に向けてリハビリに入った。

 1試合で圧倒的な存在感を示した今野、3戦連続で先発していた大迫というセンターラインが抜ける影響が大きいのは事実。UAE戦に続き、新たな救世主の登場に期待するしかない。【小杉舞】

 ◆負傷者 右膝を負傷したMF長谷部は21日にチームを離れ、22日に手術を受けた。MF高萩は25日朝にチームを離れ右母趾(ぼし)末節骨骨折と診断された。MF今野は左第5趾基節骨の骨折で25日夜にチームを離れた。FW大迫はUAE戦で左膝から太ももにかけての打撲で離脱し、26日以降にドイツに戻る予定。