U-20(20歳以下)W杯韓国大会が20日に開幕し、日本は5大会、10年ぶりに出場する。20年東京五輪の中核となる世代にとって、これが初の世界大会。日本サッカーの未来を担うスター候補を「東京の原石」と題し、5回連載で紹介する。第1回はFW久保建英(15=FC東京ユース)。

 信じられない速さで階段を駆け上がっている。久保は09年にバルセロナのスクールが主催した横浜でのイベントでMVPを獲得し、バルセロナ下部組織の選手とともに欧州での大会に出場した。そこでクラブのコーチの目に留まり、11年に下部組織の入団テストを受けた。受験にはコーチやスカウトの推薦が必要で、この挑戦だけでも日本人初。わずか10歳で合格しスペインに渡った。あのメッシでさえ入団は13歳だった。

 U-11チームのリーグ戦で得点王になるなど活躍し、4シーズンを濃密に過ごした。チーム事情で15年に退団し、東京のジュニアユースに入団すると、昨年9月に飛び級でトップチームに2種登録された。11月には史上最年少となる15歳5カ月1日でJリーグデビューを果たした。

 バルセロナの前に所属した川崎Fの下部組織でも、2学年上の選手とプレーしていた。久保にとって飛び級はいつものこと。「同世代の中では半歩くらい前にいると思う。失速せずにどんどん上にいきたい」。今は体幹トレーニングに励んでいる。今年1月にJリーグのオフを利用してバルセロナ下部組織の練習に参加した際には、計測した体力数値がチームで最も優れていたという。体格差を不安視する声もどこ吹く風だ。

 常に年上とプレーしてきた経験が向上心につながっている。「上がある限り目指したい。サッカーをやっている以上、満足したら終わり」。目標は世界のトップでプレーすること。大会の全出場選手で2人しかいない01年生まれの15歳の名前が、世界にとどろく時が近づいている。【岡崎悠利】

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。2歳でサッカーを始め、11年に川崎Fの下部組織からバルセロナのカンテラへ。15年5月に東京U-15むさし加入。昨季は東京ユースに飛び級で昇格、日本クラブユース選手権で得点王。今年4月に都内の高校に進学。家族は両親と弟。170センチ、63キロ。