<ゴン魂&秋田塾

 炎の対談第2回>

 日刊スポーツ評論家の元日本代表FW中山雅史氏(46)と同DF秋田豊氏(43)のコラボ企画「ゴン魂&秋田塾

 炎の対談」の第2回のテーマは、カウンター。W杯を戦う上で守備に時間を割かれる試合も増えてくる。中山氏は「ブラジルだってカウンターで点を取る」と言えば、秋田氏は「違う得点パターンも必要」。強豪相手との現実を見据え、あらためてカウンター体得の必要性を説く。【聞き手=盧載鎭、高橋悟史、栗田成芳】

 4-2-3-1布陣で、前線から守備をして素早い攻撃に切り替えるスタイルのザックジャパン。W杯では、ブラジル、ドイツ、スペインなどの強豪国と1次リーグで同じ組になる可能性は十分ある。その時に、今と同じ戦い方だけで挑むのか、それとも違う方法も備えておくべきなのか。

 秋田

 基本的には、今のスタイルを変えるべきではないと思いますよ。でも時間帯、相手によっては、相手にボールを持たれて押し込まれることも出てくると思うんです。引いた状態でもやられず、カウンターにいけるプランを持つことが必要じゃないですかね。ショートカウンターではなくてカウンター。

 ゴン

 ラインが下がったところからカウンターっていうのは、相当なパワーがいる。だけど、それを実現するだけのものを自分たちで鍛えないと、相手は崩れない。それは必須じゃないの?

 勝つためには。

 秋田

 好きなサッカーをやるのはいいと思うんです。でも下がって守備する時間が60分あったら勝てない、ではダメ。その中でどうやって点を取るのか。だからカウンターもしないと。自分の好きなサッカーのことばかり、本田圭佑は言っているが、それは間違いだと思うんです。言ってもいいけど、違うことも必要じゃないかと思うんです。

 ゴン

 そりゃ崩せるに越したことはないけど。守りと攻めが一体化していることが必要。カウンターを狙う上で、ボールを取った位置からすぐ前線にボールを入れられるか。

 秋田

 そう。取れるなっていう1秒前に、1歩でも2歩でも相手より前に出られているかどうかが、重要になるんです。

 ゴン

 だから、守備面での個の力というのがすごく大事になる。この前、名波と話していたら、日本は守備の時、7対3で守備の意識が高い。でもブラジルは守備の時でも7対3で攻撃の意識を持っている。「取れたら行く!」っていう考えで守備をしているから、カウンターが鋭い。ブラジルと同じ力があることが前提だけど、そこを上げていかないとカウンターは生まれない。

 秋田

 ブラジルはカウンターがうまいですよね。どこを突けばいいのか、どう走ったらいいのかが、分かっている。日本はウルグアイ戦で3点取られるまでどうでしたか?

 何1つチャンスが作れず持たされてました。3点取ってから緩くなった守備に1点取れた。ということは、今のレベルでワールドクラスの相手のブロックを崩すのは難しいということ。もしW杯でウルグアイと対戦したら、ポゼッション(ボールの保持)せずに守ってカウンターを仕掛けてくると思います。それでも崩すぞってボール回してキープできても、試合が終わったら0-3で負けているのが目に見えるんです。

 ゴン

 ウルグアイはそういうところが、異常にたけているからね。

 秋田

 相手が来るのを待って、取ってから攻撃を速く仕掛ける。すると相手は嫌だし間延びしてくる。守備陣も疲れる。攻撃に対するパワーは疲れにくいけど、守備のための戻りはネガティブ。メンタルのダメージはあるし、疲労するし。そのためにはわざとやらせてもいいと思うんです。前がボールを取りに行こうとしたら、ボランチ、センターバックが声を出して、取りに行かせず落ち着いてブロック作ろうということも必要だと思います。

 ゴン

 カウンターは、ボールを持った人に対しての反応を速くしていかないと。相手に引かれたら、崩すのは難しい。