【ドバイ(アラブ首長国連邦)=24日】日本代表のFW大久保嘉人(25=神戸)が「日の丸魂」を胸に決戦に挑む。この日、26日のW杯アジア3次予選バーレーン戦(マナマ)に向けたドバイでの直前合宿を打ち上げ、敵地へ移動。気性が荒いバーレーンは乱闘に発展するラフプレーが多いが、大久保は「おれがやらなくて誰がやる」と武闘派宣言だ。高原が右太もも裏痛で、玉田が右内転筋の違和感で練習を途中で切り上げるなど、万全ではないFW陣の中で、大久保が闘争心を前面に押し出す。

 迷いはない。ドバイ合宿最終日のこの日、ピッチには35度を超える中東独特の強い日差しが照りつけた。中央からDFを崩す攻撃練習を繰り返した。バーレーンは気性が荒く、意図的に削りにくるプレーが多い。乱闘に発展する可能性もある。だが、日本男児として真っ向からぶつかっていく。

 大久保

 戦う気持ちはいつも持ってるよ。おとなしくするつもりはないしね。行きすぎて退場になったらまずいから、その辺は考えるけど。まあ、オレがやらなくて誰がやるんや。

 うっぷんがたまっていた。右ひざ手術で欠場した2月20日の東アジア選手権中国戦。MF鈴木が相手に首を絞められながら、誰も助けに行かなかった。岡田監督でさえ「物足りない。僕が(選手として)いたら行きます」と乱闘指令を出したほど。大久保は所属の神戸では主将を任されているため冷静さを心がけているが、W杯予選となれば話は別だ。

 闘争心は他の選手にも伝わった。これまで確認してきたように、挑発にはクールに対応する。しかし、それが侮りにつながるようだと黙っていない。中国戦で唯一、相手に向かっていったMF鈴木は「やられっぱなしだとチーム全体がトーンダウンしてしまう」。DF中沢も「今度やらなきゃチームじゃないでしょ」と言い切った。

 高原、玉田がこの日、練習から離脱するなど万全の状態ではない中で、得点源として大久保にかかる期待は大きい。「海外の試合はそれ(ラフプレー)が当たり前。狙いどころも分かっているし、イメージもできている」。日本のために、牙をむき出しにして決戦のピッチへと向かう。【益子浩一】