【バンコク=13日】日本代表MF中村俊輔(29=セルティック)が執念で14日のタイ戦強行出場にこぎつけた。右足首痛で出場が危ぶまれていたが、懸命の治療でプレー可能まで回復させ、この日の最終調整に完全合流。100%の状態ではないが「いけるところまで全力でやる」とチームのために出場の決意を固めた。

 練習開始後も中村俊は姿を現さなかった。選手のウオームアップを見守っていた岡田監督も、駆け足で階段を下りて様子を見に行った。最終調整にも合流できないのか-という最悪の憶測も報道陣の間に流れてから10分後。真打ちが登場するかのようにグラウンドに姿を見せた。

 最初は痛めている右足首の状態を確認しながら試運転。そして非公開に切り替わる直前に、右足で力強く踏み込んでから左足で低空のライナー性のパスを出した。周囲に強行出場を確信させる回復ぶりを証明した。

 中村俊

 100%じゃないけど、メンタルとか引き出し、経験でカバーしていきたい。監督からは「いけそうか?」と言われた。5日間やっていないし、心肺機能も低くなっているけど、いけるところまで全力で頑張りたい。

 7日のオマーン戦で古傷が再発し、2日間の休養を挟んでも練習に合流できなかった。12日には紅白戦で14分間プレーしたが「今日の状態なら試合は難しい」と口にするほど患部に反動が出た。

 だが「出るための努力はする」と誓っていた通り、アイシング、超音波治療、患部周囲のマッサージと、回復へあらゆる手を尽くした。この日はFK、CKもこなし、最後は居残りでシュート練習も行った。ようやく強行出場できるレベルにまでたどり着いた。

 岡田監督も「今日は(練習を)やった。明日の状態を見て」と試合当日の状態さえクリアできれば、先発起用するつもりだ。岡田ジャパンの大黒柱はタイ戦に出場すれば、代表で一時代を築いた中田英寿氏の通算77試合出場に並ぶ。「今までのサッカーを出せればいい」。中村俊が勝利のために、ケガを押してタイ戦のピッチに立つ。【広重竜太郎】