<W杯アジア3次予選:日本3-0タイ>◇14日◇2組◇バンコク、ラジャマンガラ・スタジアム

 MF遠藤保仁(28)が、3点中2アシストを決め、岡田ジャパンをアウェー初勝利に導いた。前半23分に左クロスでDF闘莉王の先制弾をアシストすると、同39分には左CKで今度はDF中沢のヘッドをおぜん立て。この日も右足の精度は高く、柔らかく正確なボールをピンポイントで放り込んだ。それでも「セットプレーで何回もチャンスがあったから、もう少し取れた。精度を上げないと」と反省を忘れなかった。

 厳しさを乗り越えた今だからこそ、妥協は許さない。3月のバーレーン戦では、体調不良と戦術的理由から先発落ちした。さらに今合宿前にはMF中村俊、長谷部、松井の欧州組3人が初招集されたうえ、右太ももと右足甲の負傷からG大阪でもスタメンから外れることも。そんな危機的状況の中でも、自らを見失わなかった。体調を心配する岡田監督に全体練習参加を志願した以外は、感情を表に出さず黙々と練習を続けた。

 その姿勢を意気に感じた岡田監督から、オマーン入りした4日に空港で直接指導を受けた。指揮官の思いをじかに聞いて闘志を燃やし、PKを決めた7日のオマーン戦を含め、アウェー全4得点中3点に絡んでみせた。「前半で決めるつもりでやってた。勝ち点3が目標だったので、まあまあ」。完全復権した「影の司令塔」は自信を取り戻した。