<U-16アジア選手権:日本2-0サウジアラビア>◇12日◇準々決勝◇タシケント

 U-16(16歳以下)日本代表が、世界への扉を開いた。準々決勝でサウジアラビアと対戦した日本は、前半38分の杉本健勇(15=C大阪ユース)のゴールなどで2-0と快勝。上位4カ国に与えられるU-17W杯(来年10月~、ナイジェリア)出場権を手にした。同大会出場は2大会連続5度目。すでにJリーグ出場歴もあるFW宮吉拓実(16=京都ユース)ら個性あふれる「プラチナ世代」が、世界に挑む。

 若き日の丸戦士が、ウズベキスタンのピッチで躍動した。立ち上がりこそ硬さもあったが、前半38分にMF宇佐美のCKをニアに飛びこんだ杉本が頭で合わせて先制。同終了間際には、MF堀米のクロスが相手のオウンゴールを誘った。後半も中盤を支配し、相手を圧倒して勝利を手にした。

 元日本代表DFの池内豊監督(47)は「チームが団結し、1つの結果を残すことができた」と話した。先月に16歳1カ月でJデビューした京都FW宮吉、G大阪で「クラブ史上最高の傑作」と呼ばれる宇佐美、187センチの大型FW杉本ら逸材がそろう。日本協会の小野技術委員長が「個性派ばかりで楽しい」というスーパーチーム。野球評論家・高木豊氏の次男でもあるMF高木は「次は韓国。気持ちでもプレーでも負けたくない」と言い切った。

 試合前には、アクシデントもあった。年齢違反で1次リーグ1位のイエメンが失格し、2位の日本が1位に繰り上がった。準々決勝は、午後2時開始のオーストラリア戦から同6時開始のサウジアラビア戦に。午前10時、競技場へ出発する直前の変更だったが、選手はたくましく対応した。

 6大会連続W杯出場のU-20に比べ、この世代は日本のウイークポイントだった。メーンとなる高校1年生は受験などでブランクがあり、実戦も少ない。そこで、06年の国体から少年男子の出場資格を、それまでの高校生から16歳以下に変更。サッカー界をあげての強化が、2大会連続の予選突破につながった。

 次の目標は3度目のアジア制覇だ。94年大会で初優勝したのがMF小野、FW高原らの「黄金世代」。前回の06年はFW柿谷ら「新黄金世代」がアジアを制した。DF内田恭は「次は、この大会の優勝も決めたい」。池内監督も「次の目標に向かって、頑張りたい」と言った。12年ロンドン五輪、14年ブラジルW杯へ向けて「プラチナ世代」が世界に飛び出す。