浦和DF田中マルクス闘莉王(27)が24日、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(2月11日、日産ス)に向けて、日本代表に復帰することが決定的となった。宮崎合宿9日目に行われた宮崎産業経営大との練習試合で、約2カ月ぶりに実戦復帰。攻守両面でフル稼働し、左ひざ手術からの回復ぶりをフォルカー・フィンケ監督(60)に示した。同監督は岡田代表監督とも協議し、バーレーン戦後に帰国する代表チームに合流させる方針を決定。W杯予選の正念場で、闘将が青いジャージーに袖を通す。

 遠く中東の地に離れていても、気持ちは日本代表メンバーと同じだった。昨年11月29日のJリーグG大阪戦以来、約2カ月ぶりに立つピッチ。闘莉王は4バックに不慣れな同僚に「もっと強く当たれ」「動きが足りない」と大声で指示を出し続けた。スピードに乗った相手を体を張って食い止め、ピンチにはメスを入れたばかりの左足を投げ出してクリア。「45分間プレーできてよかった。試合感覚はまだまだだけど、問題ない」と手応えをつかんだ。

 術後、2カ月未満。驚異的な回復を後押ししたのが、W杯予選オーストラリア戦への意欲だった。年末年始は、ブラジルで専門家の指導を受けながらリハビリと自主トレに明け暮れ、14日の帰国後さらに、走り込みや筋力強化に励んだ。23日には「自分にとっても、代表チームにとってもW杯予選は大事。いい状態を取り戻したい。公式戦の緊張感を味わいたい」とチームドクターに直訴して、予定より3日も早く全体練習に合流した。

 代表への思いは、オーバーペースでの調整に慎重だったフィンケ監督をも動かした。前夜、日本代表がバーレーンに飛び立つ前、同監督は岡田代表監督と電話で直接会談。「闘莉王はクラブにとっても、代表にとっても大切な選手。このまま順調に回復すれば、今回の合宿後に、なるべく早く代表に合流させる」と決断した。浦和は現在、3月のリーグ開幕に照準を合わせて練習メニューを組んでいるため「オーストラリア戦に出たいのなら、別のメニューを組まなければならない」と最善の準備をさせる考えだ。

 浦和は宮崎合宿を26日に打ち上げて帰京。その後、3日間オフとなるが、闘莉王は29日にバーレーンから帰国する代表チームのスケジュールに合わせて動く。30日に予定されているメンバー発表をもって正式に代表復帰。まずはオーストラリア戦の前哨戦、2月4日の親善試合フィンランド戦出場を目指す。【山下健二郎】