日本代表の岡田武史監督(52)が、W杯アジア最終予選の天王山であえて主力2人を外した。19日、都内でバーレーン戦(28日、埼玉スタジアム)の代表メンバー24人を発表。これまで故障などをのぞいて招集し続けてきたGK川口能活(33)とFW巻誠一郎(28)をメンバーから外した。川口はJリーグ開幕2試合で計10失点を喫するなど調子が上がっていなかった。チームは24日に集合、千葉県内で合宿をスタートさせる。

 まるで報道陣の質問を見透かすように、岡田監督は自分から切り出した。「W杯最終予選は5戦目。どの試合も重要ですが、今度の試合は勝負をかけなきゃいけない試合だと思っています。リスクをかけてでも点を取りに行く。そのための24人です」。

 A組2位の日本は勝ち点8。3位バーレーンとは4差ある。リスクを冒す必要はない。だが昨年10月のウズベキスタン戦と今年2月のオーストラリア戦はいずれもホームで引き分けだけに、今回は勝利にこだわった。「勝ち点は問題ないと思っていますが、次の試合は勝負をかけたい」と繰り返した。

 その勝利へのこだわりが、非情ともいえる選手選考に表れていた。過去3度のW杯を経験した守護神で、チームの精神的支柱でもあるGK川口を外した。以前から「選手たちの良き相談相手で、試合に出る出ないにかかわらず、チームを引っ張る意識が高い」と故障をのぞいて常に招集し続けてきた。しかし、最近のJリーグ2試合で10失点。「チーム状態もよくないし、故障あがりで本人のコンディションもよくない。本来の力ではない」と外した理由を説明した。

 オシムジャパンからの常連FW巻も外し、よりスピーディーにゴール前に飛び込む矢野を選んだ。「プレースタイルを貴章(矢野)と比較して決めた。コンディションは貴章の方がいい」と岡田監督。過去の実績やネームバリューにこだわらず、あくまで現時点での「ベスト」を選んだ。

 バーレーンとは昨年3月から4戦して2勝2敗の五分。しかし、岡田監督は強気に言った。「負けた試合はメンバーが今回とは違う。私はやりづらい感覚は持っていない。自分たちの力を出せば必ず勝てる。自信もくそも、勝つことしか考えていない」。勝てば予選突破へ2歩も3歩も近づく。なりふり構わず、勝ち点3をつかみに行く。【井上眞】