打って、打って、打って、生き残る-。愛知県豊田市で短期合宿中のU-22(22歳以下)日本代表は17日、2日目の練習を実施。MF原口元気(20=浦和)は過酷な2列目争いを勝ち抜くため、徹底的にシュートを打ってポジションをつかむ意気込みをみせた。ゴールへの意識に課題を抱えるチームで、今季のJリーグで3位(18本)のシュート数は大きなアピール要素。クウェートとホームアンドアウェーで戦う6月の12年ロンドン五輪アジア2次予選に向け、持ち味を出し切る。

 夕日が差すピッチに、原口と指揮官だけが残った。6月19日の五輪2次予選、ホームでのクウェート戦の会場となる豊田スタジアムでの練習。約40分の紅白戦後に、関塚監督から唯一、個人指導を受けた。「内容は戦術的なことなので…。中へ入るとか、そういうことです」。約5分、レクチャーは続いた。2本の紅白戦では、ともに4-4-2の2列目の左に入った原口。そのシュート意識に期待する表れのように見えた。

 予選本番へ、最も過酷なポジション争いをするのが2列目だ。今合宿には不参加の、G大阪MF宇佐美、海外にはフェイエノールトで活躍するFW宮市もいる。「ちょっとでも調子が悪かったら、選ばれない。危機感がある。常にやらなきゃいけない」と生き残りにかける言葉は熱を帯びる。

 そのための武器が「シュート意識」だ。この日の紅白戦では「あまり、みんな打たない」と感じたという。「もっと打った方が良い。打たないと入らない」とはっきりと言う。6節を終えたJリーグでシュート数18本は3位。日本人では広島FW李の19本に次ぐ。「足が振り切れてるんです。だから3点取れてる」。4月の兵庫合宿終了時には、「ゴール意識を高めないと」と課題を挙げていた関塚監督。その悩みに応える自信はある。

 五輪本番の会場は、09年4月の名古屋戦でクラブ最年少ゴールを決めた縁起の良い場所。「ここならやりやすい」と期する。その舞台に立つため、合宿最終日の今日18日に行われる岐阜との練習試合でも、打って打って、打ちまくる。【阿部健吾】