背番号10番を背負う日本代表FW香川真司(22=ドルトムント)が、強気発言で戦闘意欲を高めた。2014年W杯ブラジル大会アジア3次予選前最後の強化試合となる韓国戦が今日10日、札幌ドームで行われる。9日の同会場での公式練習後、香川は「韓国はそんなに守備は強くない」と言い切り、欧州で磨いた独力突破でゴールを狙う意気込みを口にした。これまで控えめな発言が多かったが、攻撃をけん引する自覚が自然と口をついて出た。

 トーンは低く、落ち着き払ってはいたが、香川の口から出てきた言葉は刺激的だった。長年にわたり熱い戦いを繰り広げている隣国のライバルとの一戦。親善試合とはいえ、激しい展開になるのは必至。それでも、臆することなく言い切った。

 香川

 韓国はそんなに守備は強くない。シンプルに(パスを)つなぐのもいいけど、相手ゴール前ではダイナミックにやっていきたい。

 同僚のFW本田のように、独特の表現で周囲から“ビッグマウス”と言われながら、有言実行につなげるタイプの選手もいる。だが、これまでの香川は慎重な物言いが多かった。しかし、ドイツに移籍してゴールを重ね、欧州で自信をつかんだ。代表でも背番号10を背負う。そんな責任と意気込みが“挑発的”なコメントに、にじみ出てきた。

 韓国は香川自身にとっても特別な相手だ。1月のアジア杯準決勝の韓国戦で、右足小指付け根を骨折。それ以降、約半年ぶりの代表復帰戦となる。“因縁”については興味を示さなかったが、期するものはあるはずだ。

 2列目左サイドでの先発が濃厚。ドリブルとパス、そして質の高い動きを生かしたパスの受け手として、中盤の選手と連動しながら「ゴール前で攻撃のスイッチを入れたい」とタクトを振るう覚悟。得点についても「もちろんそれ(得点)を狙っているんで」と言い切った。

 そのプレーにはマンチェスターUが興味を寄せている。英国の名門は、今季のプレーを徹底チェックするといい、韓国戦も対象となっている。プレー次第では、今夏の駆け込み移籍の可能性もある。すべての瞬間が、自身の未来を切り開くため、そしてW杯3次予選を控える日本のために重要な意味を持つ。【八反誠】