なでしこジャパンは29日、キリンチャレンジ杯へ向けた宮城合宿4日目を行った。DF南山千明(26=INAC神戸)は、一昨年夏の左膝前十字靱帯(じんたい)断裂から完全復活し、1年10カ月ぶりの代表復帰。リハビリ中も支えてくれたMF沢穂希(33)の思いも背負い、ロンドン五輪18人枠へ生き残りをかける。

 INAC神戸では攻撃的なポジションが主だが、佐々木監督は「両サイドバック、中盤、上がりめ。どこでもできる選手として期待している」と、不動のレギュラー近賀、鮫島に次ぐ存在が手薄なため、サイドバックのバックアップ選手として起用。守備面など戸惑いはあるが「与えられたポジションがアピールする場所」とレフティーは米国戦出場へ向け意気込む。

 リハビリ中は04年に右膝半月板損傷の経験があり、日テレ-INACと慕ってきた沢が支えてくれた。10年5月11日の代表デビュー2戦目(親善試合、メキシコ戦)では途中出場ながら2得点。1点目のPKは「千明蹴りなよ」と沢に背中を押された。その夏に悪夢。「同じ膝のケガだったので常に声をかけてくれたし、代表に呼ばれた時もすごく喜んでくれました」。

 ケガなどの代役や途中出場で力を発揮できる人材を指揮官は模索している。南山は昨季リーグ戦、全日本選手権で5得点。シュート決定率は71%。2月のスペイン遠征ではバルセロナ・レディースから先制点を奪った。どの位置からでもゴールに絡む決定力は“切り札”にはうってつけの存在だ。復帰を目指して調整中の沢に米国戦での“吉報”を届けることが、回復へのエネルギーとなる。【鎌田直秀】

 ◆南山千明(みなみやま・ちあき)1985年(昭60)10月16日、千葉県市川市生まれ。兄の影響で小1からサッカーを始め、信篤FC-市川FCレディースを経て98年日テレ・メニーナ入り。03年ベレーザ昇格。昨年INAC神戸移籍。10年5月の国際親善試合メキシコ戦で代表デビュー。国際Aマッチ出場4試合2得点。165センチ、52キロ。血液型A。