日本代表FW香川真司(23=ドルトムント)が代表で“新時代”を築く。W杯ブラジル大会アジア最終予選を戦い抜く上で、ゴール前を固める中東の守備対策として、日本人にとって永遠の課題と言われてきたミドルシュートを、キーワードに掲げた。日本代表は28日、埼玉県内で非公開練習を行った。

 新たな選択肢を、増やそうとしている。アジア最終予選では、香川にとってミドルシュートが武器になる。ゴール前までDFラインを下げて守備を固めてくることが予想される中東勢に対し、エリア外からもゴールを狙うことで守備を崩せる。「中央を崩すことがベストだが、そんなにスペースを与えてくれないと思う。シュートを打てる隙を狙っていく」と明かした。

 今季、所属するドルトムントでの全17得点はすべてペナルティーエリア内からのシュートだった。日本代表でも11年10月11日タジキスタン戦で、右サイドからのクロスがそのままゴールに入った1得点のみが、ペナルティーエリア外から。その他9得点はすべてエリア内からのシュートだ。

 ザックジャパンでは、全体的にミドルシュートが少なく、今までペナルティーエリア外からのシュートが決まった試合は、香川と駒野が決めたタジキスタン戦のみ。

 香川はアゼルバイジャン戦で左CKのキッカーを務めた。正確なキック力の見せ場は、何もCKに限らない。「(ミドルシュートの)意識はしています。どんどん狙っていきたい」。代表にとって、重要な切り札になる。

 ドルトムントでの活躍が、自信につながっている。トップ下として、リーグ連覇とドイツ杯優勝に貢献。23歳ながら、経験値は十分だ。「クラブではずっとやれているから、自分の色が浸透している。代表でも出せるように、主張していく」と話した。

 メッシも、C・ロナルドもそれぞれのクラブでは活躍しても、国の代表では苦しんでいる。「チームが変われば、選手が変わる。(代表で)結果を残せなくても戦っていく」と話した。

 前回のW杯アジア最終予選では、出場1試合のみだった。4年の時を経て、代表のレギュラーに上り詰めた。「前回と明らかに立場が違う。今は、自分が勝ち取ってきた立場。もっと結果を求めていく」。真司の時代が、幕を開ける。【保坂恭子】