【ドーハ(カタール)20日】W杯切符と一緒に、CM出演ゲット!?

 日本代表FW岡崎慎司(26=シュツットガルト)が、アジア最終予選ヨルダン戦(26日、アンマン)での、2大会連続W杯決定弾を視野に入れた。前回大会の予選では、ウズベキスタン戦で決勝ゴールを奪い出場権をもたらすと、一躍時の人になった。周囲からはCM出演をささやかれたが、オファーはゼロ。そのかいあって、浮かれることのないまま地に足をつけて、4年ぶりの“出場決定戦”に臨む。

 肩に力の入った4年前とは違う。冒頭15分公開の練習前、DF内田とリフティングをする岡崎の表情は余裕さえ感じさせた。無我夢中に飛び込み、劇的でダイナミックに決めたウズベキスタン戦は、岡崎のサッカー人生を変えた。前回大会に続いて、W杯決定弾を決めるチャンス。またしても敵地での出場決定戦に、当時の記憶が岡崎の脳裏によみがえってきた。

 「代表に定着するきっかけになった、自分にとって大事なゴール。でも大層には思わなかった。周りに注目してもらえたけど、それに乗っかるか乗っからないかは自分の判断。地に足つけてきたから、今も代表にいられると思う」

 浮かれることなく、4年後の最終局面まできた。当時は周囲の選手から「絶対CMのオファーが来るぞ」と言われたほど一気にブレーク。しかし実際に届いた依頼はなく「あれだけ言われたのに来なかった。(ドイツ大会の)大黒さんには来たのに…。だから自分はそういうことを考えちゃいけないんだなと。それが自分なんだと、そのとき思えたのがよかった」。周囲の声に、岡崎の心は躍らされなかった。だが、次こそ決めればオファーがあるかもしれない。それでも「どうですかね。もう考えてません」と無心で臨む。

 代表合流前、原点に返る大きなきっかけがあった。日本のテレビ番組の企画で、元日本代表FW中山雅史氏(45)がドイツにいる岡崎を訪れた。ゴール前にちゅうちょなく飛び込む姿に憧れた、尊敬する希代のストライカーとの再会。欧州リーグとブンデスリーガを戦う合間、食事をしてひとしきり話し込んだ。「日程が厳しかったんですけど、ゴンさんに会えてよかった」。意を決して中東入りした。

 チーム内ではダントツの通算31得点の実績をひっさげる。ゴールを決めた試合は20戦連続で無敗と福男ぶりも健在。カナダ戦で勢いをつけて見据える先は26日。「ヨルダン戦で決めたい。そのスタンスは変わらない」。その強い心が、日本を5大会連続のW杯へ導くに違いない。【栗田成芳】