【カタール(ドーハ)=21日】ザックジャパンが史上初の3大会連続での「W杯世界最速出場」をつかみ取る。日本は今日22日、W杯出場権がかかるW杯アジア最終予選ヨルダン戦(26日、アンマン)に備え、親善試合でカナダと対戦する。故障者が多く、アルベルト・ザッケローニ監督(59)にとってカナダ戦は格好のテスト。その後に控えるヨルダン戦でW杯出場権を獲得すれば、3大会連続の「世界最速出場」を達成する。この日の公式練習は冒頭15分以外は完全非公開。戦術や布陣の確認を行い、まずはカナダ戦を最高のステップにする。

 コーランが響き渡り、涼しい風が吹き抜ける夕闇のスタジアムで、注意深く選手の動きを見守った。就任から約2年7カ月。以前から説いてきたヨルダン戦でのW杯出場権獲得の重要性。故障者も出ている状況で高まる緊張感。ザッケローニ監督はミーティングで選手に静かに訴えていた。

 ザッケローニ監督

 (ヨルダン戦を経て)日本サッカー界に新たな歴史を築こう。自分たちで日本のサッカーをつくっていこう。君たちに期待している。

 ザッケローニ監督にとって予選突破を早く決めれば、14年夏のW杯本大会までより多くの準備期間を取れるという大きな利点がある。だから、これまでも「できるだけ早く出場を決めたい」と言い続けてきた。故障者が出ている状況下でも、その思いに変化はない。

 今回の予選で日本が「世界最速出場権獲得」を果たせば、3大会連続。W杯の歴史上、連続での「最速記録」はスウェーデン(34年イタリア大会、38年フランス大会)、ブラジル(78年アルゼンチン大会、82年スペイン大会)の2大会連続が最多。日本の3大会連続が史上初の偉業となる。

 体調が整わなかったMF本田(CSKAモスクワ)、DF長友(インテルミラノ)を招集できず、この日の練習でもDF今野はいまだに別メニュー調整。完全ではないチーム状態だけに、ヨルダン戦を間近に控える中でのカナダ戦は、より重要なテストとなる。

 史上初の偉業達成を果たせば、日本はW杯に向けてより良い準備ができるはず。この日の会見で「カナダ戦は選手の体調を確認し、誰がヨルダン戦出場にふさわしいかを決める。交代枠6人を最大限にいかしたい。トップ下は明日発表します」。注目のトップ下の先発はあえて隠したが、最高の結果を求めるヨルダン戦に備え、まずはカナダ戦を最高の準備試合にする。【菅家大輔】

 ◆日本が立て続けに「世界最速」で本大会出場を決められる理由

 日本がアジアの中で確実に実力をつけ、最上位クラスに位置しているのが最大の要因。W杯初出場となった98年フランス大会予選はアジア・プレーオフ(PO)に回り世界で2番目に遅い出場決定だった。だが、その後は最終予選で着実に勝ち抜いている。また、アジアは最終予選を終えた後、アジアPO、大陸間POに回る国がある。「2段階のPO」に備えるため、強豪国がそろう欧州、南米などより予選の日程が前倒しになっているという現実もある。