【ドーハ24日】日本代表FW香川真司(24=マンチェスターU)が、4年前の屈辱を晴らす。明日26日にW杯アジア最終予選ヨルダン戦(アンマン)を戦う日本代表は、ドーハ市内での最後の練習を打ち上げた。22日のカナダ戦前半でトップ下として出場し自らダメ出しした香川が、再び司令塔として先発する可能性が浮上。前回大会の出場を決めたウズベキスタン戦をスタンドで見届けた悔しさを胸に秘め、敵地ヨルダンへ向かった。

 強い日差しが、香川を照らし続けた。ドーハで行われる最後の練習。今合宿初めて午前中に行われ、最高気温は30度まで急上昇。中東ならではの暑さの中、冒頭15分公開の練習では、サイドでの連係を確認した。左に清武、香川はトップ下。カナダ戦の前半、自らダメ出しした司令塔として、ヨルダン戦を戦う可能性が浮上。すると、香川の言葉も熱を帯びた。

 「W杯は特別な大会。まだ通過点。僕はW杯で活躍することを想像している。出ることを想像しているわけじゃない。自然とこみ上げてくるものは、やっぱりありますよね」

 09年6月6日。あの屈辱は忘れない。勝てば南アW杯出場が決まるアジア最終予選ウズベキスタン戦。今回のヨルダン戦とまったく同じ状況を迎えていたが、香川はスタンドにいた。「4年前はベンチ外でしたから。悔しさはすごくあります。ピッチに立てるチャンスもなかった」。同行しながらもベンチにさえ入れずスタンド観戦。W杯出場を決めても素直に喜べない自分がいた。だから今思う。「チーム全体で喜びを分かち合いたい。そうしたら、チームが前へ進める」。ポジションへのこだわり以上に、ピッチに立てる喜びをかみしめた。

 前哨戦のカナダ戦から、トップ下として同じ轍(てつ)を踏むわけにいかない。大事なのは「コンパクトに連動すること」。消化不良に終わった訳を明確にした。選手同士の距離感が遠すぎて、攻守において連動性を欠いた。宿泊ホテルのプライベートビーチで息を抜き、頭の中をリセットする一方で、話し合いも重ねた。この日はザッケローニ監督と個別に話し「ポジショニングのことを言われた」という。

 さらに練習後の取材ゾーン。指揮官が取材を受ける香川の背中をポンとたたき、満面の笑みを送った。「任せたぞ」と言わんばかりに。メッセージを感じ取ったのか、香川は言った。「大事な試合でこそ結果を残す。そういうことが求められる立場。全力で決めにいく」。意を決して敵地に向かう。【栗田成芳】

 ◆10年W杯南アフリカ大会出場を決めた最終予選のウズベキスタン戦

 09年6月6日にアウェーで行われた。前半9分、FW岡崎がMF中村憲の長いスルーパスに抜け出すと相手DFともつれ合いながらシュート。1度はGKに防がれたが、こぼれ球を倒れ込みながら頭で押し込み決勝点を挙げた。終盤にMF長谷部が退場処分、岡田監督も退席処分など厳しい戦いとなったが、1点を守りきり、4大会連続W杯出場を決めた。香川、興梠らがベンチ外でスタンド観戦だった。

 ◆日本がヨルダン戦でW杯出場を決める条件

 W杯アジア最終予選B組で現在、勝ち点13で首位を走る日本がヨルダン戦で「○」なら開催国ブラジルを除き世界最速でW杯出場権を獲得。「△」なら、同日開催のオーストラリア-オマーン戦が「△」の時のみ出場が決まる。「●」の場合は6月の予選2試合に持ち越される。日本-ヨルダン戦前にオーストラリア-オマーン戦が終了するため、日本はその結果を知った上で戦える。