日本代表に雷が落ちた。1日、埼玉県内で練習を行い、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(4日、埼玉)に向けて調整した。練習前ミーティングでは、アルベルト・ザッケローニ監督(60)が怒声を飛ばすほどヒートアップ。選手側の意見も聞き入れながら、ピリピリムードを漂わせた。選手たちは主将のMF長谷部誠(29=ウォルフスブルク)を中心にミーティングを開き、練習開始が予定より約1時間も遅れる異例の事態となった。

 鬼の形相をしたザッケローニ監督が立っていた。練習前ミーティング。0-2で敗れたブルガリア戦(5月30日)を映像で振り返りながら、指揮官は語気を強めた。戦術面、精神面について、ときには怒声を浴びせた。ひとしきり言い終えると「君たちの意見も聞こう」と、複数の選手から戦術的な質問を受けた。前日に豊田スタジアムから移動し、埼玉県内での初練習。気温も下がり雲行きが怪しくなる天候の中、1時間も遅れる異例の再スタートとなった。

 ピリピリムードが漂う中、音頭を取ってまとめたのは主将の長谷部だった。選手たちを仕切り、DF長友やGK川島ら主力を指名。W杯出場決定を目前にした今、日本に必要なもの、足りないものは何か-。意見を求めた。身をもって感じたことをぶつけたのは、ブルガリア戦をベンチで見つめ、後半から出場した長友。かつての記憶を振り返りながら、切り出した。

 「問題はメンタルが多い。3年前(10年W杯直前)はもっと厳しかった。今、W杯出場権では、優位に立っているのかもしれない。けど、気持ちを下げていたらプレーの質を下げることになる。オーストラリアに勝つために何をするかだ」。3年前のW杯本大会直前。国内最後の試合となる韓国戦で0-2と完封負けしたところからイングランド、コートジボワールと3連敗を喫し崖っぷちに立たされたが、乗り越えた自負がある。

 何より、ザックジャパンは、W杯予選においてまだ何も成し遂げていない。大事なことは4日のオーストラリア戦に向け、最善の準備をすること。従来通りの布陣である4-2-3-1の確認をし、練習を終えた長谷部は「議論じゃないけど、ディスカッション。意見をすりあわせた。選手もこれで少しは消化できたと思います」。スッキリした表情で、会場を後にした。【栗田成芳】