2022年W杯カタール大会の開催時期をめぐる問題で、日本が韓国、米国、オーストラリアと「共同戦線」を張る。10月の国際サッカー連盟(FIFA)理事会で、同大会の開催時期変更が議論される可能性が浮上。開催地選定の再投票という説までささやかれる中、日本協会の田嶋幸三副会長(55)は12日、東京・文京区のJFAハウスで行われた理事会後、開催地から落選した日本を含む4カ国で対策に動いていることを明かした。

 有事に備え、日本協会は既に動いていた。開催時期移行の説も浮上するW杯カタール大会。10月3、4日のFIFA理事会で討議されることが濃厚で、田嶋副会長は「日、韓、米、豪の4カ国で(有事の際に)どのようなスタンスを取るか確認している」と話した。

 10年12月に22年大会のカタール開催が決まった直後から、最高気温が50度前後に達するカタールの6月開催に疑念の声が上がっていた。さらに9日にFIFAブラッター会長が英メディアに「カタールを開催地に決めたのは間違いだったかもしれない」と発言。10日に「間違いなのは開催時期について」と修正したが、物議を醸している。

 カタールは全スタジアムへの冷房システム導入を計画するが、FIFAは懸念を示している。だが、冬開催となれば「夏開催」という招致の大前提が崩れ、カタール開催自体の是非が問われかねない。また、冬開催では、リーグ戦の日程変更を迫られる欧州各国の抵抗も考えられる。議論次第では、開催地の再検討もありえる。

 日本は招致合戦に敗れた韓国、米国、オーストラリアの3カ国と連携し、夏開催という前提が崩れた場合の対処を検討。田嶋副会長は「夏から冬になった場合、『はい、そうですか』とも言えないし、簡単に再選挙とも言えない。再選挙と主張して法的にどうかという部分もある。4カ国でしっかり話し合わないと」と強調した。

 日本は現在、鍵を握るFIFA理事会メンバーは不在だが、米国にはグラティ理事、オーストラリアにはドッド理事がおり、理事会の動きなどの情報交換も可能。再選挙となれば2020年東京五輪に続き、2022年W杯日本大会開催の可能性も出てくるだけに、「有事」への対応が極めて重要になる。【菅家大輔】

 ◆2022年W杯カタール大会

 10年12月2日に開催地決定選挙で日本、韓国、米国、オーストラリアを下し、2022年大会の開催地に選ばれた。カタールは1回目の投票から他国を圧倒。日本は2回目の投票で脱落。二者択一となった4回目の最終投票でもカタールが米国に圧勝。酷暑の中東の6~7月開催のため、カタールは太陽光発電による冷房で競技場内を27度以下に保つ「エアコンスタジアム計画」を発表。ただ、競技場以外で選手、観客が厳しい暑さにさらされるため、当初から夏開催が疑問視されていた。また、選挙の不正疑惑もたびたび報道されている。