【ノビサド(セルビア)7日=高橋悟史、栗田成芳】DF長友佑都(27=インテルミラノ)が攻撃力を最大限に発揮する。インテルでは先週末ローマに敗れ、今季初黒星を喫したが、開幕戦と2戦目で得点を挙げ、攻撃的サイドバックとしての持ち味を発揮している。4バックの左サイドバックとして、そして3-4-3の時の左サイドMFとして、長友の攻撃力は欠かせない。

 合宿初日の7日。長友は先頭で走り続けた。一部選手による居残りダッシュ。ピッチを縦に、時には斜めに、ダッシュとジョギングを織り交ぜながら10本以上繰り返した。長友はそのすべてで先頭でゴールした。

 フォーメーション練習では、微妙なポジショニングの加減をザッケローニ監督やスタッフに聞き、完璧な戦術理解に努めた。長友は「今回は10日間しかないので、監督の求める戦術を1人1人が見つめ直すことが大事」と話し、1秒たりとも時間を無駄にしない姿勢を示した。

 指揮官はW杯本番までに3-4-3を完成させると宣言した。日本代表にとって、長友の前への推進力は不可欠だ。そのパワーが3-4-3ならさらに発揮される。これまでチームとして実戦では結果が出なかったが、長友が左MFとなるオプションは、攻撃のスタート位置が、より相手ゴールに近くなり、持ち味を発揮しやすい。「インテルでも3-4-3でいいサッカーが出来ている。僕自身、前の位置で攻撃に絡めるし、そこが好きなポジション。サイドで起点を作れるほうが打開出来るし、一番自分に合っている」。7戦を終えた今季のリーグ戦では、すでに2得点を挙げている。

 3-4-3の時の弱点は、両サイドMFの裏と3バックの外側に出来るスペース。相手がそこを狙って来る可能性は高い。だが長友は「そこは僕たちサイドの選手が埋めないと。それを怖がっていたら戦えない」と語気を強めた。

 全体練習後、各選手がリフティングやストレッチをする中で、チームスタッフやDF吉田とジョギングを行った。試合中の走力を維持するために、居残りを終えてからも走る。走力に裏打ちされた自信を持ち、W杯まで走り続ける。