<女子アジア杯兼女子W杯アジア予選:日本1-0オーストラリア>◇25日◇決勝◇ベトナム・ホーチミン

 なでしこジャパンが、ついにアジアの頂点に立った。日本(FIFAランク3位)は前回大会覇者のオーストラリア(同11位)を下し、14回目の出場で初優勝を飾った。前半28分にDF岩清水梓(27=日テレ)のヘディングで奪った1点を死守した。攻守で躍動した主将のMF宮間あや(29=岡山湯郷)が大会最優秀選手に選ばれた。日本は来年6月開幕のW杯カナダ大会で2連覇を目指す。

 宮間が銀色のアジア杯を夜空に突き上げると、仲間も笑顔一色となった。日本が81年大会に初出場してから33年。5度目の決勝の舞台で、ついにアジアの壁を打ち破った。宮間は「1人でも欠けたら優勝できなかった。本当にみんなの勝利だと思う」と振り返った。

 2トップ右とトップ下の中間地点で先発した宮間が先制点を生んだ。前半28分、自らのセンタリングで得た左CK。ショートコーナーのDF宇津木に短いパスを出すと、宇津木がクロスを上げ、岩清水が頭で2戦連発の先制弾を決めた。後半20分からは交代のMF澤に代わってボランチに下がり、守りに集中。2アシストの準決勝に続く活躍で大会MVPを手にした。

 12年3月のアルガルベ杯から澤に代わって主将に就任した。13年夏の東アジア杯で韓国に敗れ3連覇を逃すと「自分も含めて代表のあるべき姿を見直すべき。ごまかしが利かなくなってきている」と泣いて言った。仲間を叱咤(しった)すると同時に、リーダーとしての力不足を痛感した。

 MF猶本ら5人が初招集された今大会は、主力がオフの日もサブ組の練習に顔を出し、準備や後片付けを手伝った。準決勝翌日の23日は休養を命じられたが、練習に向かう控え組の水分補給用ペットボトル1つ1つに激励メッセージを書き込み、送り出した。前日24日は佐々木監督の56歳の誕生日。選手は誕生日ケーキを用意し、FW丸山の一発芸で笑いに包まれるなど、雰囲気も最高潮だった。

 「優勝は目標だったけど、私たちはW杯で優勝している。来年に向けてやるべきことはまだまだ多い」と宮間。強敵ぞろいのアジアを制して7大会連続のW杯に出場する。あと1年。ベテランと若手の融合という課題と向き合いながら日本は再び世界に挑む。

 ◆女子アジア杯

 前身の女子アジア選手権は75年に創設。86年にアジアサッカー連盟(AFC)が主催し、06年から現在の大会名に。10年まで基本は2年に1度の開催が、今回から4年に変更。最多優勝は中国の8回。

 ◆女子W杯カナダ大会

 15年6月6日から7月5日にかけて、カナダの6都市で開催される。24カ国が出場し、6組4カ国に分かれ1次リーグを行い各組2位以上が決勝トーナメントに進出する。開催国カナダ以外の各地域の出場枠は欧州8、アジア5、北中米カリブ海3・5、アフリカ3、南米2・5、オセアニア1。アジアは日本、オーストラリア、韓国、中国、タイが出場する。すでに予選が始まったアジアと欧州以外の地域は今秋に行われる。