日本サッカー協会は24日、18年W杯ロシア大会を目指す日本代表の新監督にハビエル・アギレ氏(55)が就任すると発表した。

 アギレ監督のエピソードとして思い起こされるのが、10年W杯南アフリカ大会1次リーグでのこと。メキシコ1部グアダラハラの一員として09-10年シーズンに21ゴールを挙げ、飛ぶ鳥を落とす勢いで、名門マンチェスターUへの移籍を決めたFWエルナンデスを先発で使わなかったことだ。

 「なぜマンUの選手を使わないんだ」。メキシコ国内で激しい批判にさらされ、「ほとんどリンチされているようだった」(アギレ監督)という。だがエルナンデスは途中出場した1次リーグ・フランス戦でゴールを決めるなど、短いプレー時間で結果を出した。

 同FWは1次リーグでの頑張りで、アルゼンチンとの決勝トーナメント1回戦では先発に回ったが、アギレ監督はそれまでの起用法について毅然(きぜん)として説明。「彼は試合の流れを変えられる選手。最後の15~20分くらいで使った方が効果的だ」と話した。

 南アでの采配が正しかったかどうかは分からない。だが自分の信念に基づき、周囲の雑音や所属クラブでの名声、過去の実績にとらわれずに選手起用できるのは強み。今後は本田や香川、長友らビッグクラブ所属選手も安泰ではなく、チーム内の激しい競争が期待できそうだ。【千葉修宏】