FW本田圭佑(28=ACミラン)DF長友佑都(27=インテルミラノ)が若き日本代表に金言を授けた。イタリアのビッグクラブに所属し代表をけん引する2人が、FW武藤嘉紀(22=東京)MF柴崎岳(22=鹿島)らに海外の経験を伝えた。宿舎での食事会場などで、W杯ロシア大会で中核を担う世代の教育係を買って出た。

 ブラジルからロシアへ、本田、長友が世代をつなぐ懸け橋となる。食事会場など、膝をつき合わせる場で海外での経験などを武藤、柴崎らに伝えていた。本田は取材エリアを無言で通り過ぎたが、長友は「新しいメンバーは意識していないが、いろいろと刺激をもらっている」と話した。初選出の5人だけではなく、初めて顔を合わせるメンバーらに所属クラブでの経験を還元した。

 武藤は出場機会が訪れれば、3トップの左サイドが有力。同サイドでコンビを組むことになる長友、右サイドで点に絡むことを期待される本田とは、食事会場で同じテーブルになったという。海外でプレーすることの厳しさを自分のものにしようと、耳を傾けた。

 「観客のブーイングがすごいし、新聞などでも厳しいと聞きました」と言い「(海外組は)判断が速いし、人を使って自分を生かすというプレースピードが速い」とピッチでの動きも記憶に刻んだ。また中盤で攻守のキーマンになりそうな柴崎は「海外のチームの話は刺激を受けるところもある。僕は国内。そういう話は貴重だし、いいことだと思う」と実感を口にしていた。

 失意の14年ブラジル大会から18年ロシア大会へ。巻き返しへ向けては、20代後半の成長だけではなく、若い世代の底上げは不可欠だ。国外のクラブで培った経験や厳しい経験を、若い世代に伝えることも重要。特に、イタリアでファンやメディアからの厳しい視線にさらされる本田、長友の話は重みがある。

 アギーレジャパン初の合宿はわずか1週間ほど。より実のあるものにするため、オフ・ザ・ピッチでも本田、長友が経験を伝え続ける。【高橋悟史】