【ドーハ30日】リオデジャネイロ五輪出場を決めたU-23(23歳以下)日本代表が、7月21日から予定している事前合宿地の候補に開催国ブラジルのバイーア州とサンパウロ州サントス市を挙げていることが分かった。8月4日の開幕に先駆けて2週間の予定で滞在する。5月の組み合わせ抽選次第だが、暑熱順化のための前線基地を今後、選定していく。リオ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア選手権を終えたチームは今日31日、帰国する。

 68年メキシコ五輪以来48年ぶりのメダル獲得へ、日本協会がリストアップしている事前キャンプ地の一部が明らかになった。1つがブラジル北東部のバイーア州。高温多湿の熱帯気候で暑熱順化に適しており、ブラジルの国内クラブの多くがプレシーズンに合宿する場所という。現地の選手が利用するだけに説得力があり、諸施設も整っている。州都のサルバドルは試合会場の1つで、14年W杯ではドイツがバイーア州に拠点を構え、見事に優勝した。

 南東部サンパウロ州のサントス市も候補だ。温帯気候で、年間平均気温24度のビーチリゾート。日本のカズやブラジルのペレ、ネイマールが所属したサントスFCがあるサッカーの街として知られ、ブラジル最大の都市サンパウロまで車で約1時間半。1908年(明41)に日本からの正式移民が初めて入港した都市でもあり、開拓の志を感じながらメダルに挑戦できる。

 事前キャンプ期間中は五輪出場国と練習試合を行う方針。現時点で対戦相手は未定だが、出場国がバイーア州、サンパウロ州、内陸部のミナスジェイラス州に集まるとの情報もあり、相手チームの合宿先で試合が組まれたとしても移動の負担は少なそうだ。

 リオ五輪サッカー競技の開催要項によると、本大会1次リーグの組み合わせ抽選会は5月。当然、日本が6都市7会場のどこに振り分けられるかによって合宿地は変わるが、抽選後すぐ最終決定できるように準備を進めておく必要がある。

 日本協会は14年W杯の直前合宿を米フロリダ州で行い、拠点はサンパウロ州のイトゥ市に構えたが、移動時間が長く、涼しすぎたという反省が出た。手倉森監督も同W杯を視察した際にリオとサンパウロを訪れ、帰国時には「リオとサンパウロは近いのに暑さの質が違う」と話していた。2年前の検証に監督の肌感覚も加味して判断することになりそうだ。最終予選後、担当者をブラジルに派遣する。

 ◆リオデジャネイロ五輪 南米大陸で初めて開催される夏季五輪。8月5日開幕、同21日閉幕。サッカーは3日の女子、4日の男子から先行開幕する。今大会からゴルフと7人制ラグビーが追加。全28競技306種目が行われる。サッカーはリオ、サンパウロ、ブラジリア、ベロオリゾンテ、サルバドル、マナウスの計6都市7会場で実施。出場国は男子が16、女子が12。

 ◆五輪代表の事前合宿地 96年アトランタ五輪は、1次リーグ初戦ブラジル戦の試合会場マイアミがあるフロリダ州のオーランドを拠点に合宿。「マイアミの奇跡」と呼ばれるブラジル撃破につなげた。00年シドニー五輪は直前まで茨城・鹿嶋市などで国内合宿を行い、1次リーグ初戦の4日前に試合会場のキャンベラ入り。準々決勝に進んだ。04年アテネ五輪はドイツ・ニュルンベルクで直前合宿し、初戦の4日前にギリシャ入り。08年北京五輪では愛知県内などで合宿した後、初戦の3日前に会場の天津入り。12年ロンドン五輪は英国中部レスター近郊のバッキントンを拠点とし、ベスト4に輝いた。