<アジアCL:(4)浦和2-0アルカディシア(クウェート)(3)>◇準々決勝第2戦◇24日◇埼玉※カッコ内は2戦合計点

 昨季王者の浦和が2-0でアルカディシアを下し、準決勝進出を決めた。前半31分、MF相馬崇人(26)が強烈な左足ミドルで先制点。後半9分にはFKからDF闘莉王(27)が追加点を奪い、第1戦(2-3)と合わせた2戦合計4-3で逆転勝利を収めた。アルカラマ(シリア)を破ったG大阪と10月8、22日の準決勝で激突する。日本の2チームが4強に残ったのは初めてで、日本勢の2年連続決勝も決まった。

 4万人を超える大観衆の目を、一瞬にしてくぎ付けにした。ゴールを決めた相馬は、スタンドでもベンチでもなく、ピッチ中央に向かって走り、思いっ切りほえた。前半31分、相手DFが左CKを頭でクリアしたボールは大きく弧を描き、相馬が待つ場所に落ちてきた。「トラップしようかと思ったけど、蹴りやすいボールがきた」。小さく鋭く振り抜いたシュートは、相手に格の違いを見せつけるスーパーゴールとなった。

 敵地での第1戦を2-3で落とし、勝ち上がるには勝利が絶対条件だった。昨年公式戦無得点だった男の、今季4点目となる先制弾は、チームに大きな勇気を与えた。

 相馬

 ゴール前に顔を出せば何かが起こる。そういう意識がある。サイドの選手も点を取るために2列目から絡んでいかないと。

 強い意識がゴールに結びついた。背景には日々の何げない努力がある。マンチェスターUのゴールシーンが収録されたDVDを、普段から自室で流している。「スコールズがああいうゴールをすごくやっている」。元イングランド代表MFのプレーを頭に焼き付け、自分に置き換えて常にイメージを膨らませていた。

 移籍1年目の06年は、ドリブルを得意とするスタイルを当時のブッフバルト監督から認めてもらえず、出場したリーグ18試合はすべて途中出場。昨季も先発に定着できなかった。それでもスタイルを変えずに、今季は左サイドで定着。「去年より力を抜いたプレーができている」。

 2連覇を達成すれば、クラブW杯でマンUとの対戦の可能性もでてくる。昨年はACミラン戦に出場し、アンチェロッティ監督に「要注意人物」としてあげられた。「ミラン戦で何もやってないですから」。まだ「何か」を成し遂げたとはもちろん思っていない。夢の対戦に向けて1歩1歩、確実に進んでいくだけだ。【栗田成芳】