＜アジアＣＬ：Ｇ大阪３－０アデレード＞◇決勝第１戦◇５日◇万博

　遠藤だ！

　王手だ！

　Ｇ大阪の日本代表ＭＦ遠藤保仁（２８）が１得点１アシストの大活躍で、３－０でアデレード（オーストラリア）に先勝した。１点リードの前半４３分、ＦＷルーカスのパスを受けると、左足でゴール右隅に流し込み、勝負を決定づけた。後半２３分には左ＣＫでＤＦ安田理のボレー弾をアシスト。１２日の第２戦（アウェー）では、２点差負けでも優勝が決まる。初のアジア王座とクラブＷ杯出場へ、圧倒的に優位に立った。

　疾風のように、遠藤が飛び込んできた。前半４３分、ＭＦ佐々木のパスカットから生まれた決定機。ルーカスのパスを受けると、左足を振り抜いた。糸を引くようなシュートが右隅へ。アジアの頂点とクラブＷ杯出場をぐっとたぐり寄せる、完ぺきな１発だった。

　「フリーになってたので、ボールをうまく止めたら決まると思っていた」。完全に相手を見下ろしていた。試合前に分析映像を見て、勝利を確信した。「最初の１０分くらいで、必ず点は取れると思っていた。（アデレードが勝った）鹿島戦を見る限り、下で（ゴロの）パスを回して自分たちの土俵に引きずり込めばいけると思った」。セットプレーでも後半２３分、安田理のボレー弾を正確なＣＫでアシストした。遠藤の独壇場だった。

　１２日の決勝第２戦は因縁の地が舞台だ。アデレードの本拠ハインドマーシュスタジアムは、００年シドニー五輪で日本が準々決勝で米国にＰＫ戦の末に敗れた会場だ。遠藤はメーンスタンドから敗戦を見守った。補欠登録だったためアップさえ許されず、ピッチには立てなかった。大会中の練習もチーム本隊とは別調整を強いられた。８年ぶりの同会場は、歓喜の地に変わるはずだ。

　遠藤が言う。「去年の浦和は堅い守備で優勝したけど、僕らはパスをつなぎながら楽しいサッカーでアジア王者になるという目標が今年の初めからあった」。Ｇ大阪の生命線のパス回しを中心で率い、アジアサッカー連盟の年間最優秀選手に輝く可能性も出てきた。頂点までもう少しだ。【北村泰彦】