キングは「幻のゴール」でも輝いた! 48歳のJ2横浜FCのFWカズ(三浦知良)が、前半19分にオウンゴールを“演出”した。一時は自身のゴールと思わせる存在感でチームを勝利に導いた。2戦連続のJリーグ最年長得点記録更新は逃したが、アウェー熊本のスタジアムから拍手が湧き起こった。

 やはり絵になる男は、何をしても輝く。前半19分、FKからの右クロスがゴール前の混戦に入り、ボールはゴール方向へこぼれた。瞬時に反応したFWカズが追いかけ、直後、ボールはゴールに吸い込まれた。カズはイレブンと抱き合ってハイタッチ。「ただいまの得点は、横浜FCのFWカズ選手でした」。アナウンスに客席は拍手で沸いた。

 前節5日磐田戦の先制弾で自らが持つJリーグ最年長得点記録を48歳1カ月10日と更新したばかり。それを、さらに6日更新…と思われたが、周囲が期待したカズダンスはなかった。

 カズ 全くの幻だよ。だってボールに触ってないから。

 ハーフタイムにオウンゴールに訂正されて幻ゴールとなったものの、「あそこに自分がいることで相手にはプレッシャーになったと思うし、相手も慌てるからね。ボクは常にゴールを狙っているから」。06年5月6日徳島戦(三ツ沢)、同10日東京V戦(味スタ)以来、9年ぶりとなる2戦連続弾は逃したが、カズがその存在、その動きで相手を翻弄(ほんろう)し、公式記録員にさえ、一時はゴールと信じ込ませた。

 カズ ゴールはゴール。自分じゃなくてもゴールを狙っているわけだし、チームに得点が入るのはうれしい。今日は絶対に勝たないといけなかったし。

 前節はチームが敗れて空砲となっただけに、この日は素直に勝利がうれしかった。結果はオウンゴールでも、自らの「オーラ」で勝ち点3をもぎ取った。

 「ミウラの奇跡」と世界的にも報じられた48歳1カ月10日のレジェンドゴール翌日となった6日は次男の入学式に出席。選手でもあり父でもある。次節19日の長崎戦(ニッパツ)こそ「レジェンド&お祝い弾」を決めてみせる。【浦田由紀夫】