山形が過去6戦5敗1分けの天敵名古屋に、価値ある引き分けだ。得点こそ奪えなかったが、相手長身FWの川又とノバコビッチを封じ込め、今季最少の被シュート数3に抑えた。

 石崎信弘監督(57)は「DFが体を張ってよく頑張ってくれた。自分たちがより走っていけた」と手応えを口にした。

 走力で圧倒した。第6節松本戦を除く過去12戦、総走行距離で相手を上回ってきた豊富な運動量が生きた。名古屋との6・34キロ差は14試合中、2番目に差が大きく、約107キロを走りまくってピンチの芽をつんだ。DF西河は「相手のロングボールが怖かったが、セカンドは拾えていた。最後まで相手に決定機を作らせなかった」と話した。

 シュート13本で無得点と攻撃面での課題は残ったままだが、理想型はつくった。後半17分、MF宮阪のスルーパスから、右サイド裏に抜け出したDF高木純が好クロス。中央にいたFWディエゴが頭で押し込んだ。高木純がタッチラインを割っていたとの判定でゴールは無効となったが、絶妙の連係を見せた。同22分にFW川西を投入後も何度もチャンスをつくった。

 勝てなかったが、連敗は止めた。石崎監督は「後半、川西を入れていい形ができた。(得点は)精度を上げていかないと厳しい。いいゲームをしても勝てないのがJ1。最後の崩しをやっていかなければ」と前を向いた。第1ステージ残り3節。アウェーでつかんだ手応えを糧に、全力で走り抜く。【高橋洋平】