ブラインドサッカー界の“キング”こと黒田智成(36=たまハッサーズ)が、リーグ最年長弾を48歳4カ月2日に更新した横浜FC三浦知良のゴールに刺激を受けた。29日、都内で行われた「ブラインドサッカーアジア選手権2015」記者会見に出席。

 囲み取材で、昨日の水戸戦でリーグ最年長弾を更新したカズの話題が飛ぶと、黒田はこの日一番の笑顔を見せた。「カズさんは(年齢が)一回り上だけど、きちんと結果を残している。本当にすごすぎる。とても良い刺激を受けています」と、尊敬する日本サッカー界のキングの記録更新を祝福した。

 黒田は代表歴10年以上と代表選手の中で最長を誇る。カズと同じく「生涯現役」にこだわり、41歳で迎える20年の東京パラリンピックも「代表入り」を目指している。

 さらに、なでしこジャパンの4強入りも喜んだ。「早朝でぼんやりしながらテレビ観戦していましたが、1チャンスを点にする決定力や集中力に驚いた。自分たちもそういったプレーをしたいです。サッカーという共通のスポーツで、カズさんやなでしこの選手が活躍している姿を見ると、『自分たちもやってやる』という強い気持ちになります」。黒田の隣にいた「アジア選手権」アンバサダーを務める北沢豪氏も興奮気味に話す黒田の姿を見て「キングは違うね~」と感心していた。

 黒田は熊本県出身。生後3カ月で左目に小児がんの「網膜芽細胞腫」があると判明し、摘出。6歳の時、右目もがんの疑いがあるとして摘出手術に踏み切った。失明はしたが、アニメ「キャプテン翼」の影響を受け、毎日、実家の車庫で壁蹴りに熱中した。中高では陸上に親しみ、久留米大時代は3段跳びで視覚障害者の世界大会の参加標準記録をクリアした。筑波大大学院修士2年の時にブラインドサッカーに出会い、本格的に取り組むようになった。