磐田の元日本代表MF松井大輔(34)が、試合開始15秒で先制点を挙げ、1-0の勝利に導いた。開始15秒でのゴールは、歴代5位タイ(J1リーグ戦)に相当する記録。松井のナビスコ杯での得点は、ルーキーだった京都時代の00年10月18日準決勝第2節川崎F戦(2-1)以来5649日ぶり。がんと闘う知人へ、特別なゴールを届けた。

 試合開始の笛から15秒後、松井の魂を乗せたボールがゴールに吸い込まれた。右クロスのこぼれ球を、胸トラップから右足で約30メートル、ドライブシュートを決めた。次々に駆け寄る仲間とともに、メインスタンド上部のVIPルームで松井のユニホームを掲げる知人を指差した。試合後「今日の勝利は、その人にささげたい」と話した。

 浜松市に住む知人は、長年の磐田サポーター。昨年、がんが脳に転移し、集中治療室(ICU)で余命は年内だと伝えられた。それでも「磐田の試合が見たい」と新薬を試し、スタジアムに足を運ぶまでに復活した。松井は「長生きして、これからも来てほしい。サッカーで、1人の人生を変えられるならうれしい。神様がいるなら、ありがとうと言いたい」。16年ぶりのナビスコ杯での得点は、サッカー人生において忘れられない得点になった。