J1歴代最多171得点のFW大久保嘉人(34)が、新天地・東京で迎える新シーズンでのゴール量産を予感させた。沖縄キャンプ6日目の22日、地元クラブの海邦銀行との練習試合に1トップで出場。移籍後初実戦でいきなりハットトリックを決めた。疲労が蓄積された中、永井、太田ら新戦力組とも息を合わせ、早くも存在感を放った。

 大久保が開始23分でハットトリックを決めた。30分×3本の変則マッチの1本目。4分で名古屋から加入したFW永井の左クロスに頭で合わせ、移籍後初ゴール。2-0の12分、今度はフィテッセから復帰したDF太田からの左クロスを再び頭で合わせた。いずれも新戦力同士の連係。大久保は「結構(パスは)出てくる。みんなが意識して見てくれている」と仲間に感謝した。23分にも右足でゴールを奪った。

 昨季の東京はサイドから崩す攻撃は多くなかっただけに、大久保は「サイドにいい選手がいるから、いいクロスがくると思って飛び込める」と新たな形に手応えを得た。太田も「僕らがいければ嘉人さんが(点を)取ってくれる」と頼りにし、早くも選手間に信頼関係が生まれている。篠田監督はハットトリックの大久保を「ゴール前に入るタイミングや、パスを受けてからの時間の作り方を見せてもらった」と評価した。

 キャンプでは連日、強度の高い練習を続けている。大久保は「この年になって、もう1回強くなってやろうと」と、川崎F時代はほぼなかった走り込みにも精を出す。試合は30分だけの出場だったが、終盤は疲労の蓄積による出力ダウンも見られた。それでも「(体力は)かなりやばい。でも思ったよりいけた」と、額の汗を拭いながら笑った。初実戦で好感触を得ても「照準は開幕戦」と、今年35歳を迎えるストライカーには余裕が漂った。【岡崎悠利】