J2町田の新体制発表会が28日、東京・町田市民ホールで行われた。

 唐井直GM(59)は席上で、2020年にJ1でプレー出来る環境を整備するというクラブの目標と、今季のスローガン「+one 超えろJ2!」を前提に「目標よりも前倒しで、J1でプレーすることを実現したい。『+one』を皆様にもお願いしたい」と強調。約650人のサポーターを前にJ1昇格に向けたプランを1年、前倒しする覚悟で臨む考えを示して、協力を訴えた。

 町田は

 (1)J1はホームスタジアムは1万5000人以上の収容人数が必要だが、ホームの町田市陸上競技場の収容人数は1万328人

 (2)年間を通じて常時使用できる天然芝、もしくは人工芝のピッチ1面及び屋内トレーニング施設がない

 (3)クラブハウスがない

など、J1クラブライセンス取得に必要な規定を満たしていない。経営規模も約6億円(15年)で、J2の全22チーム中18番目だという。一方で、J2昇格初年度だった16年の成績は、22チーム中、7位と大健闘だった。唐井GMは「相馬直樹監督以下、選手、チーム力が非常に先行しているのが実態。クラブも経営規模を大きくしていかなければいけない」と現状を分析した。

 唐井GMは、町田市が19年ラグビーW杯、20年東京五輪のキャンプ地誘致を表明している件を踏まえた上で「地域の施設の環境整備をしていただくとともに、私どもが20年にJ1環境を整えていただくロードマップ、青写真を、Jリーグへ参考資料として提出している」と明言。そして、来場した石阪丈一市長を前に「市長におかれましては、1万5000席のスタジアムを作っていただく、ご覚悟は既に固めていただきたい…これくらいまでは、今日言っても、お許しいただけるのではないか」と、町田市陸上競技場の改修について、あらためて強く要望した。

 その上で、同競技場の改修の方向性について産業、商業施設を入れ、収益化が可能なものにするべきとの考えを示した。また、スタジアムの産業、商業施設を利用するであろう住民とともに、スタジアムを作り上げる「民間活力」の投入を強く訴えた。

 いまや、国の施策の中でスポーツ産業の活性化がうたわれ、スタジアムの収益化、お金をもうけましょうという中間報告がスポーツ庁、経産省からなされた。(JFLに昇格した)FC今治は、国の収益化のモデルケースとして、7年以内をメドに1万5000人規模のスタジアムを作る。従来型の国体の施設…野津田(町田市陸上競技場)が代表的ですが、そこに病院やEXILEのダンス教室など産業、商業施設を入れることで、スタジアムで稼ぎましょうという動きが、他では既にスタートしている。これからは、石阪市長にお願いするばかりでは僕らも情けない。皆さんも、ぜひお力をいただいて、町田の競技場、ゼルビアのスタジアムではなく、私たちのスタジアムと、民間の力でお手伝いできる機運を盛り上げ、20年よりも前倒しでJ1でプレーすることを実現したい。J1に上がることができないことを分かっていて、残ってくれた選手諸君の思いを1年でも前倒しにすべく「+one」を皆様にもお願いしたい。

 唐井GMは、その第一歩として「今年は、クラブとして街に出る」と表明した。具体的には、町田市の施設に選手が行くなどして、教育や少子高齢化対策の手伝いをするという。「ゼルビアだって、社会貢献が皆様の目に見える形で出来る時代になってきている。ゼルビアがお役に立てる機会をいただければ、どんどん街に出て行き、街の誇りになれるかが成功のカギ」とサポーター、スポンサーに呼び掛けた。

 また、特にサポーターには、町田の集客力が弱く、町田市陸上競技場改修の機運を高めるためにも、動員増に協力してほしいと訴えた。観客の動向を分析すると、ホームの動員力は4000人で、C大阪や松本など、サポーターを多数、持つ人気クラブが来ないと動員9000人、1万人という数字は見えてこないという。16年に動員1万人を超えたホーム戦は、1万112人を動員した2月28日のC大阪との開幕戦1試合だけだった。

 (C大阪FW)柿谷君を見たいから客が来る。夢であるスタジアムを実現するためには、市長のご英断とか30万の署名が集まるよりも、4000人の皆様がご家族など、もう1人連れてきていただければ8000人になる。アウェーチームに左右されることはない。私たちも街に出る。皆さんにもお願いできれば、新スタジアムにつながる。

 4季目のシーズンに臨む相馬直樹監督(45)は、スタジアム改修を含めたJ1昇格の目標を1年、前倒しにするという唐井GMの話を受け「ゼルビアがもっと強くなって、こいつら面白いよねと、我々が(町田市、住民を)巻きこんでいけるか、本当に必要と思ってもらえるかどうか。選手も我々も(契約は)1年、1年だけど、クラブの道筋としてはいいこと」と話した。【村上幸将】