J2山形が5日、J3藤枝と今季初のJクラブと練習試合を行い、8-2(45分×4本)で快勝した。今季から背番号10を任されたFW鈴木雄斗(23)がシステム3-4-2-1の右ウイングバック(WB)で先発し“2アシスト”。1本目11分にはFW阪野豊史(26)へ先制得点につながるパスを供給し、同35分には鈴木のクロスがオウンゴールを誘った。182センチの大型FWを右WBで起用する攻撃的布陣が奏功した。

 新機軸がはまった。右WBに起用された鈴木が、右サイドを牛耳った。スペースを見つければ豪快に中へ切り込み、ターゲットを見つければ正確なクロスでチャンスメークする。鈴木の適性を見抜き、攻撃型の新生山形の一端を披露した木山隆之新監督(44)は胸を張った。「マルチな選手。推進力もあるし、シュートも持っている。フィジカルも強いし、アップダウンもこなせる。今日の収穫ですね」と、背番号10を絶賛した。

 山形加入2年目で初のWBに抜てきされた鈴木も、即結果を出した。昨年までは主に1トップ、シャドー(2列目)でリーグ21試合に出場し2得点止まりだったが「WBやっても中で仕事できる。それが1点目につながった。どのポジションをやっても自分の色を出せれば」。鈴木のアシストを受け、練習試合で3戦連続得点を決めたFW阪野も「キックもいいし、1対1でも抜ける。1人でクロスまで持って行ってくれれば、中で待てる」と手応えを口にした。

 新加入選手12人が合流した静岡・御前崎1次キャンプを締めくくった。木山監督は「充実していた。目指す方向性を共有できた」と目を輝かせた。8日から始まる千葉・市原2次キャンプではさらに激しい競争が待ち受ける。「ポジション争いが起こってほしいと思ってチームをスタートさせた。どんどん競争してほしい」と熱く語った。

 鈴木の台頭にも満足はしておらず「(WBには)山田もいる。逆に雄斗を左に置いても面白い。いいオプションになる。開幕までチームの精度を上げていければ」と、攻撃力アップに手応えを感じている。開幕まであと20日、山形は超攻撃的サッカーで、J1まで駆け上がる。【高橋洋平】